若い人たちの雇用について、多くの会社が頭を抱えています。採用担当者やマネージャークラスの人たちも今までとは少し考え方が違うぞ?と首をかしげているかもしれません。実はこうした指摘は遠くアメリカでも起こっています。ミレニアル世代の特徴から、採用や仕事へのモチベーションについて少し詳しく見ていきましょう。
1.ミレニアル世代の特徴
ミレニアル世代とは、多くの場合、1980年代以降に生まれた世代であり物心ついたときから家にパソコンや携帯電話などの機器があった世代でもあります。そしてアメリカの調査では、このミレニアム世代の特徴として、「寛容と平等」「豊かさへの責任」「世界志向」の3つを上げています。
「寛容と平等」とは、人種や宗教、考え方や性別といった一人一人の個人差を尊重し、全ての人と対等な関係を築こうとする思考を指しています。「豊かさへの責任」とは、世界全体の富の偏在や世界にある多くの問題に対し、責任を感じ何かしらの行動をしなければならないと考えていることです。「世界志向」とは、自分たち一人一人の行動によって世界をより良く変えていけると考えているということでもあります。
こうした志向は、時間への捉え方に大きな影響を与えます。今までの規則を軽んじているわけではないのでしょうが、長期的な目標の達成や成長よりも、より短期的な考え方や生き方を望む傾向があるのです。この時間の捉え方が、今までの仕事観や考え方と衝突しがちな部分になってきます。
2.ミレニアル世代の採用と雇用スタイルについて
時間の捉え方の違いから、短期的な視点が強く出てしまうミレニアル世代の考え方や行動パターンから、採用方法や雇用スタイルについて考えていきましょう。
①ミレニアル世代の採用
ミレニアル世代は、良いと感じるものに特徴があります。それは、オープンであり平等であり野心的であり、そして何よりも協調性とハーモニーがあるということです。仕事に綺麗ごとはいらない、現実を見ろといった言葉は彼らには届きません。彼らの特徴の3つを思い出してください。彼らにとって仕事とは、日々の糧を得るものではなく、世界をポジティブに変えていく作業であり、また同時に人は平等であることを再確認させてくれるものでもあるのです。そのため、採用の際に彼らに発信するメッセージもそれに合わせる必要があるでしょう。また、彼らの特徴として長期的なものよりも短期的なものに興味が行きます。これは今までの伝統ある大きな企業よりも、規模は小さいものの決断が早く様々な挑戦をしてきた企業へより興味がわくということです。そのため、今まではなかなか有望な若い人たちが興味を持ってくれなかった企業などにも人が集まるようになってきています。
ミレニアル世代が興味を持つ具体的な施策は以下のとおりです。
・柔軟性のある仕事スタイルを提供できる
・社会的責任に従事できる
・横にも縦にも透明性のある仕事環境である
・様々な生活スタイルに合った仕事環境がある
こういったことは、ミレニアル世代の採用という目標だけでなく、変化の激しい現代の経営環境に適した施策ともいえます。また、SNSなどの自社から提供できる情報量が特段に大きくなりつつある現代において、意思決定が遅いというのは致命的です。意思決定が遅い理由は現場の情報が十分に入ってこないことが最も大きいといわれています。今回上げられている4つの施策は、現場の情報をいち早く経営層に持ち上げることに貢献するでしょう。ミレニアル世代の採用に力を入れ始めたところ、経営が右肩上がりになり始めたという会社は少なくありません。
②ミレニアル世代の雇用スタイル
ミレニアル世代は非常に大きなポテンシャルを持ち、仕事に対するモチベーションも高いため、上手く組織に組み込むことで大きなメリットを得られる世代でもあります。一方で、短期的視野に立ちがちな彼らにとって、1つの会社でずっと働き続けることはメリットが少ないと感じやすい世代でもあるのです。そのため、ミレニアル世代のポテンシャルを最大限に活かし経営的なメリットを出すために、彼らのキャリアをある程度補間する必要があるでしょう。具体的には以下のような施策が望ましいとされています。
・暖かく積極的な歓迎
・計画的で短期的・中長期的なそれぞれのスケジュール
・いつでも助言を求められる体制や環境作り
・キャリア支援
・新しいテクノロジーへのアクセス
・双方向のフィードバック
これらの施策は、現状の硬直した仕事組織を打破し、組織としてのパフォーマンスを一変させることにも寄与するのでしょう。何よりもミレニアル世代は考え方が短期的です。会社組織における短期的パフォーマンスはそのまま売り上げに繋がりやすいでしょう。ただし、中長期的な視点については考えが至らないこともあるため注意が必要です。ミレニアル世代はそのポテンシャルに合せた新しいテクノロジーや組織形態への適応力は非常に強いのですが、一方で硬直した組織における長時間動きのない環境では十分なポテンシャルを発揮できません。時に思い切った配置転換や、双方向のフィードバックを活用したコミュニケーションによる個々人の目標の設定などを通じて、仕事の意義や状況を説明する必要が出てくるのではないでしょうか。今まで以上のポテンシャルを持ちつつ、今まで以上に配慮と信頼が必要なのがこのミレニアル世代です。
3.まとめ
ミレニアル世代は、変化に強く柔軟な思考と行動力を持っていることが多く、こうしたポテンシャルが仕事に活かされればと、会社としてもチームとしても期待することが大きいのではないでしょうか。ミレニアル世代のポテンシャルと会社の成長曲線が一致する様な組織形態作りに今回のまとめをぜひ活用してみてください。特にミレニアル世代が持つ3つの特徴は、今までの世代ではなかなか理解できない非常にリベラルで先進的な発想です。彼らの力をフルに活かすことができる企業が、今後、さらに変化が激しくなると予想される経営環境を上手く泳ぎ切り、生き残ることが出来る企業となっていくでしょう。