従業員の退職防止と上司やマネージャーとの関係

チーム 企業カルチャー

2022年2月1日に厚生労働省は、最新の有効求人倍率は1.16倍と発表しています。
コロナ禍により、伸びている業界と苦戦している業界がありますが、以前として人手不足の傾向にあるといえます。
退職者が増える時期は、会社の期末、年末の12月末、年度末の3月末などが多いと言われています。
多忙な時期に離職者の手続きが増えると人事担当者の意欲も喪失してしまうのではないでしょうか。

従業員が退職する理由

従業員が退職する理由はいくつかあげられますが、下記の理由が目立ちます。

・上司や同僚との人間関係

・会社の文化の不一致

・適切な休暇と有休消化

・成長可能性

退職をするということは、今の仕事や現状の環境に、将来の期待が得られないということでしょう。
そして、これらの中で最も退職に影響を与えているのは、上司との人間関係であるといわれています。
つまり、上司やマネージャーが能力を発揮し、適切に働く人たちの期待や希望に合わせることができれば、従業員が他の仕事を見つけようと考える可能性が低くなると言われています。


1.従業員の退職と上司との関係

「従業員は仕事を辞めるのでない。上司から離れるのだ」という言葉があるほど、仕事において上司やマネジャーの存在というものは大きいものです。ここで、従業員がマネジャーや上司に求める能力は主に4つと言われています。

・尊敬できる

・ある程度の自由を認めてくれる

・仕事において縦にも横にも透明性がある

・明確な目標を定めている

それぞれ詳しく見ていきましょう。

①尊敬できる

尊敬できる上司とはどういうものでしょうか。実は、プレイヤーとしての能力やスキルはそこまで重要視されていないことがわかっています。尊敬できる上司とはむしろ、部下やチームメンバーを尊重する上司です。この尊重というのは、仕事における能力やアイディア、スキルにとどまりません。上司が部下やチームメンバーとどのように接しているのか、どう捉えているのか。このような姿勢がチーム内全てにおいて尊敬を生み出すと考えられています。

②ある程度の自由を認めてくれる

部下やチームメンバーは、上司やマネジャーに比べて仕事の裁量が小さいことが多いです。そのことを頭に起きながら、それでもやり方や仕事の捉え方など、ある程度の自由を認めてくれる上司やマネジャーのいるチームは、過保護であったり仕事のやり方に介入しすぎる上司のいるチームに比べて、明らかに離職率が低いことがわかっています。ある程度の自由を認めることは、チームメンバーや部下の意志や考え方を尊重するものでもあります。

③仕事において縦にも横にも透明性がある

「部下やメンバーに伝えてはならない情報がある。」
「知らなくても良い情報は伝える必要がない。」
このように考える上司やマネジャーは多いと思いますが、このような対応は、離職率を上げる考え方にほかなりません。

上司が仕事において透明性を持って行動していることで、部下やチームメンバーは自分の作業に安心を覚え、同時に上司に信頼されている実感が得られるのです。信頼されている実感は、メンバーのモチベーションを高めポテンシャルを引き出したりコミットメントを高くしたりする副次的な効果も持っています。

④明確な目標を定めている

それが魅力的であるかどうかはさておき、誰の目にも明らかな目標があるかどうかは、メンバーの離職率に影響していることがわかってきました。明確な目標がありそれを共有することは、チームのポテンシャルを高める方法として考えられてきました。明確な目標のあるチームに所属することは、その仕事内容以上にメンバーのモチベーションに大いに影響を与えるのです。


2.離職率の低いチームは利益を上げるチームである

離職率の低いチームを稼働させていく上司は、同時にそのチームのポテンシャルも高めることができるといわれています。離職率の低いチームはモチベーションが高く、一定以上の成果を上げられるでしょう。先ほど上げた4つのポイントは、そのままチームのポテンシャルを高め成果を挙げる方法とも重なります。メンバーの離職率だけを気にするのではなく、それ以上にチームとしての完成度を高めモチベーションを維持していくことで、副次的に離職率が下がっていくという考え方の方が、より発展的でかつ生産的ではないでしょうか。


3.まとめ

今回は、上司やマネージャーと離職について記載しましたが、理由はもちろんこれだけではないでしょう。

優秀な従業員を失うことは、会社全体に影響を与えます。しかも多くの場合、優秀であればあるほどクリティカルな同業他社へ転職することが多いでしょう。つまり、離職率の高い会社は、自社の利益を損なうだけでなく、ライバルの利益を増やすことになってしまうのです。

社内の制度や風土などを調整してくのは、労力やコストがかかるので敬遠されがちですが、優秀な人材を失うことによる会社やチームのダメージは大きくなる一方です。

大切なのは、原因を正しく理解し、改善していくことです。
強いチームビルディングを行うにはどのようにしたらよいかと常に考え実行しているチームの離職率は下がり、生産性の高いチームになるでしょう。