これからつくる人事評価制度 人事評価制度の必要性と作成方法

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会社の未来を変える?人事評価の作り方

人事評価制度が運用されていない企業は、多くあります。
今まで必要がないと感じていても、人事評価制度が必要だと感じている組織もあるのではないでしょうか。
人事評価制度は、「企業規模が大きくなってきたから導入する」という企業規模の成長からの面ではなく、企業がこうありたいという未来像を社内で共有し、「従業員の満足度をあげる」「優秀な人材の確保」など人材育成からの面でも導入効果が期待できます。
適切な人事評価制度は、企業を成長させます。
今回は、人事評価制度の作成方法とそのポイントを解説します。

人事評価とは

人事評価制度とは、従業員の実績や能力、企業への貢献度などを正しく判定することです。
企業によっては、何を評価するかというのは異なってきますが、企業の目指す方向性に沿った公正な評価を行うことが重要です。

なぜ公正な人事評価が必要なのか

評価制度が整っていなかったり、評価基準が不透明、また納得のいかない人事評価は従業員の不満を募らせます。

例えば、
「年功序列の慣習から、自分より業績の悪い人が出世する」
「業績や売り上げは自分の方が圧倒的にいいのに、給料は同僚と大差ない」
など。
優秀な人材から離職していってしまう懸念があります。

離職に繋がらずとも、不満を抱えたままの従業員のモチベーションは上がらず、生産性の向上は期待できないでしょう。

公正な人事評価は、企業側が従業員のスキルや業績を把握するといったことだけでなく、企業と従業員の信頼関係を構築するとも言えるでしょう。

人事評価の作り方

自社の企業理念を再確認し、どのような評価制度を取り入れたらよいのか慎重に検討しながら進めて行きましょう。

人事評価項目を作成する

人事評価制度においては、「能力評価」「業績評価」「情意評価」という3つの要素があります。

能力評価

従業員の能力やスキルに対する評価です。企業がその職務に対して求める能力を評価するので、企業や職種によって評価する項目は異なります。一般的には、その職務を遂行するための、企画力・実行力・問題解決力などが評価されます。管理職であれば、マネジメント能力の項目も必要でしょう。企業によっては、専門的な知識・経験だけではなく、コミュニケーション能力や人間関係の構築能力など、対人能力も評価の対象として取り入れたほうがよい場合もあります。

業績評価

一定期間内の実績を数値で判断する項目です。例えば、「売上」「契約数」「目標の達成率」など客観的にはかることができることで評価します。業績に対してのわかりやすい評価になるので、従業員はより高い成果を求めるモチベーション向上に繋がります。
近年は、年功序列制度から業績評価へと見直す企業も増えています。

情意評価

従業員の業務に対する意欲や姿勢を評価します。
職務に対する責任感や意欲、積極性また、協調性などで評価します。
能力評価や業績評価で低い評価となっても、潜在能力からの期待値として高い評価になる場合もあります。

評価項目は企業ごとに異なります。

まずは、社内で人事評価に関する不満を洗い出していきます。従業員の不満は、企業の改善すべき点を表しています。従業員の不満が何かわからないまま人事評価制度を取り入れようとしても、人事評価の導入だけが目的となってしまい真の効果は発揮できません。

次に経営者と評価をするマネジメント層で、企業として求める人材、また、現場で期待される人材を明確にし、一致させていきます。企業が目指す方向性と現場の方向性が異なっていると、従業員は何を目指していくのかを見失ってしまいます。
企業にとって、期待する人物像を明確にしてから、「何を評価するのか」という評価項目を決定していきます。

評価方法を決定する

どのような評価方法を選択するかは企業ごとに異なります。
近年では、「360度評価」「コンピテンシー評価」「MBO評価」が代表的です。

360度評価

360度評価とは、直属の上司だけでなく、同僚、部下など、周囲の社員など周囲から多角的に評価を行います。
様々な視点からの評価になるため、客観的で公平性の高い評価を行うことを目的としています。
また、評価対象者自らの評価も反映させるので、評価対象者にとっては、自己認識と他社認識の違いや意外な評価を受けることで多くの気づきを得られ、仕事に向き合う姿勢を見直すきっかけが増えます。

コンピテンシー評価

コンピテンシーとは、「優れた業績を残す社員に共通する能力や行動特性」のことです。
企業において優秀な成績を出している社員の行動特性を分析し、パターン化します。
その行動に近い行動を取っている社員を評価します。

優秀な人材の行動をベースにするため、従業員全体の能力向上が期待され、人材育成の面でも効果的です。

MBO評価

MBO(目標管理制度)は、あらかじめ決めた目標を会社と共有し「達成できたかどうか」を評価します。
目標設定は具体的なものにし、達成のためのプロセスも重視します。
目標設定は、自らが設定するので、自己成長やモチベーションのアップにもつながります。

人事評価のルールを決定する

評価の結果を、従業員の給与や賞与、また昇給や降格に反映させるのか。また反映させるのだとしたら、基準の設定を明確にしなければなりません。

人事評価のフローやシステムを決定する

評価の基礎となるフォーマットを作成しましょう。
評価項目や基準を明確にします。
Excelなどの汎用ソフトを利用すると導入コストがかからずに運用できますが、データの一元化や管理の工数削減の面から評価システムを導入すると人事担当者の負担が軽減されます。
評価システムを取り入れる際は、コスト面だけではなく、自社にあった運用ができるかどうかよく確認してから導入するとよいでしょう。

従業員への周知を行う

「人事評価制度」の運用を始める前には、説明会を設け従業員へ周知を行います。
どのような目的で導入するのか、内容やスケジュールなどを説明し、きちんと理解してもらいましょう。

運用を開始する

運用していく上で問題となるような事例が発生したら、即見直しを図る必要があります。
もともとの想定と異なっていたり、組織や社会の変化から常にPDCAをして改善していくようにしましょう。

人事評価の注意点

評価者の選定

評価者は、企業が求める評価基準を理解し、客観的で公正な評価が出来なくてはなりません。
管理職やマネージャーには、適切な評価ができるように、事前に研修を行うなどして、企業の方向性の理解や評価に必要な能力を身に付けてもらうようにしましょう。

フィードバックを必ず行う

従業員へは、評価の結果を伝えるだけではなく、次の成長につながるようにきちんとフィードバックを行いましょう。
フィードバックにより、どこに課題があるのかまた、伸ばしたい長所など自らが納得した上で目標を立てると成長が加速していきます。

まとめ

まだ人事評価制度が整っていない企業は、導入に時間がかかることを懸念し躊躇するかもしれません。
しかし、業務効率や従業員のモチベーションの向上、また、従業員エンゲージメントの向上にも効果があり、離職率を下げるというメリットがあります。
人材の育成という側面からも企業の成長を促していくでしょう。