中小企業の人事システムの選び方

HRテック

人事部門の業務効率化や人材管理の目的から、人事管理システムの見直しあるいは新規導入が進んでいます。人事管理システムは、近年「HRテック」とも呼ばれています。「HRテック」は、「Human Resources」と「テクノロジー」をかけ合わせた名称で、人事部門が抱える課題をテクノロジーで解決に導くサービスで人事管理や労務管理などがあります。

今回は、人事システムの種類や機能の紹介と選定のポイントをご紹介します。

人事管理システムとは?

人事管理システム(HRテック)とは、人事における管理業務を効率化するためのシステムで、採用管理や人事評価、給与計算などがあります。今まで、人事担当者の負担になっていた、Excelデータ・紙の書類などでの管理やメール・郵送で行っていた業務をシステムで行うことができます。
当初は大手企業向けの多彩な機能を持ち合わせ高価なものが多く、中小企業では導入が躊躇されていましたが、近年では中小企業が使いやすい、ある機能に特化したものや低コストのサービスも増えてきました。

人事管理導入メリット

導入メリットはいくつかありますが、具体例を3つあげていきます。

人事業務の効率化

人事担当者の業務は多岐に渡り、中小企業では、人事だけではなく総務も労務もすべて行うことも珍しくありません。人事管理システムの導入により、人事担当者の作業工数を減らし、アナログで行うことでありがちな人的ミスも防ぐことが可能になります。
多様化し複雑な雇用形態にも対応することができ、多くの手続きや管理業務を効率化することが可能です。。

人材情報管理の効率化

社員一人ひとりの情報は、部署や役職、保有資格など組織内の情報に加え、住所や連絡先など個人情報と紐づいていますが、Excelや紙での管理で一元化されていないと、情報の変更があった場合すべての情報更新が必要です。しかし、人事管理システムを利用すると、1つのマスタ情報を変更するだけで、すべての情報が変更されます。

人事評価業務の効率化

人事評価をExcelで行う場合、人事担当者はスケジュール管理から集計までを行わなければなりません。また、管理にも工数がかかり、今までのデータを取り出しにくいといった課題があります。
人事評価システムを利用すると、進捗が一目でわかり、集計も自動で行われるので、その業務に追われることがなくなります。
システムによって360度評価やコンピテンシー評価などが利用でき、透明性のある評価で従業員にも納得のいく評価が行うことができます。

人事管理システムの種類

人事管理システムは、人事業務全般に対応できるERP(統合業務システム)の他、労務管理や給与計算などに機能を絞ったシステムなど様々な種類があります。

勤怠管理システム

社員の出退勤の記録を管理するシステムです。残業や休日出勤などの管理も可能なので、残業時間や有給休暇の取得状況など労働環境の把握が容易になります。

労務管理システム

入社時の社会保険加入手続きや給与計算、年末調整などの申請を行うシステムです。

人事評価システム

社員の評価に関するデータを一元管理できます。社員は、他者による評価や自己評価、目標管理・フィードバックなど必要な情報を管理でき、いつでも確認することができます。また、評価期間中は進捗状況も一目でわかるので、人事担当者の進捗管理などの負担が軽減できます。

給与計算システム

残業代・所得税・年末調整の処理など、手作業だとミスが起こりやすい計算をシステムが自動で行います。
システムによっては、給与明細も自動でメール配信できる機能がついているので、作業工数を大幅に削減することが可能です。

採用管理システム

企業の採用活動に必要な業務を一元的に管理します。応募者の募集から採用までをシステム上で行い、システム上から応募者とやりとりを行ったり、応募者の選考状況や評価情報が確認できたりと、採用に関わる工数を効率化できます。

人事管理システムの選び方のポイント

システム化できる業務の範囲

例えば、労務管理システムでも「入社時の手続きで社会保険加入手続きはできるけれど、雇用契約書の作成はできない」「マイナンバーの管理はオプションでしかできない」「電子申請ができるものとできないものがある」などシステムによってサービスが異なります。
幅広い機能を最初から提供しているタイプもあれば、オプションで追加するといったタイプもあるので、細かい部分まで確認しましょう。

費用

多くの人事管理システムは、利用人数による従量課金制でサービス提供されています。しかし、1人あたりの利用料の計算で運用費は安く感じられても、導入費用が高額であったり、最低利用者数が決められている場合もあるので注意が必要です。

システムの連携

「今は人事評価システムだけが必要だけれど、将来的には勤怠管理や給与計算もシステムを導入して連携したい」という場合もあるかもしれません。その場合は、柔軟に対応できるシステムかどうかをしっかり確認しましょう。

利用者の使い勝手

主に、人事担当者が利用するので担当者が利用しやすいシステムがよいでしょう。多くのサービスでは、トライアル期間が設けてあったり、デモ画面で確認できたりといったことが行えます。契約前に、サービスを比較してみるとよいでしょう。

まとめ

中小企業の場合、企業の成長によって「今必要な機能」は変化します。
多機能ではなくても、一部の業務負担を軽減させるサービスは多く提供されているので、利用してみてはいかがでしょうか。