モチベーションマネジメントに必要な要素とは

成長 従業員マネジメント

モチベーションマネジメントは経営、人事戦略が欠かせない要素だということをご存知でしょうか。誰もがよく聞きよく使うモチベーションについて、また、組織のモチベーションマネジメントで欠かせない視点についてお伝えしています。


1.モチベーション理論のいろいろ

心理学の領域にも関わるモチベーション。その定義は多岐にわたり、かなり複雑なものです。

ビジネスにおいても社員のモチベーションが生産性や成果に影響するものと認識され、個人でも組織レベルでも常に注目を集めている言葉です。世界には、数多くのモチベーション理論が存在しています。いくつか有名なものを簡単にご紹介しましょう。

①欲求理論

心理学者マクレランド氏の提唱で、モチベーションは「達成」「権力」「親和」「回避」という欲求のどれかに基づいているという理論です。

②目標設定理論

心理学者ロック氏の提唱で、目標設定とモチベーションの関係性を説いたもの。目標設定の段階でも、目標に向かう過程でも、「納得度」「難易度」「具体性」「フィードバック」がモチベーションに関係してくるという理論です。

③シロタのモチベーション3要素

「公平感」「達成感」「連帯感」を満たすことができれば、社員のモチベーションを高められるという理論です。


2.モチベーションの外的動機、内的動機

モチベーションには、外部の人や環境の影響を受けて湧く外的動機と、自分の内側から湧いてくる内的動機があります。「動機」とは、人を行動させるモチベーションのことです。

例えば、上司に褒められたい、チームメンバーに負けたくない、納期に間に合わせたい、給与、称賛、評価を含む高い報酬(見返り)が欲しいなどは「外的動機」です。企業が提供している手厚い福利厚生制度なども、外部環境として外的動機に作用する要素となるでしょう。

一方で、内的動機は、個々の社員が持つ、目的意識、情熱、満足感、純粋にやりたいという欲求、好奇心や興味、向上心などから生まれてくるものです。充実感や達成感を求める、純粋に面白い、楽しいと感じる、より深く追求、探究する情熱を持つ、成長意欲なども内的動機として挙げられるでしょう。

ポジティブな感情と高いパフォーマンスの「持続」を望むとき、外的と内的のバランスが必要だといわれています。


3.社員ごとに異なる動機にどう対応する?

組織でのモチベーションマネジメントを難しくさせる要因がひとつ。社員のモチベーションの源泉は一人一人異なっているということです。さらには、状況や条件によって、個々のモチベーションの源泉も程度も変わってきてしまいます。

社員のモチベーションは、決して経営者の月ごとや年に数回の「メッセージ」だけで維持できる代物ではありません。密なコミュニケーションの中で、それぞれのモチベーション要素を理解し管理できるのはマネージャーなのです。複数、大多数の社員を担う企業のモチベーションマネジメントでは、マネージャー層がモチベーションを理解し、モチベーションマネジメントのスキルを身に付けることが先決となるでしょう。


4.モチベーションの要素とは?

励ましたり、発破をかけたり、期待を表現するだけでは、社員のモチベーションにも行動にもつながらないものです。組織はまず、社員のモチベーションを上げるための前提を揃えておく必要がありそうです。

企業の役割は、「安心」と「居心地の良さ」を感じて働ける企業文化を提供することです。モチベーション向上のためというよりも、モチベーションを低下させないためです。企業文化というと漠然としていますが、この文化こそ、企業個々の価値観によって作り出されていくものではないでしょうか。

例えば、施設や設備的な部分に反映させるなら、ストレスなくスムーズに使えるネットワーク環境、使い勝手のいい情報共有ツールの活用、自然なコミュニケーションを引き出す空間づくりなどが挙げられます。

人事制度、評価基準や評価の仕方、企業理念や規定やルールも、毎日の仕事が反映されるのですから、社員の意識の中に多かれ少なかれ存在しているはずです。一貫性や公平さを保つことで与えられる安心感があるはずです。

物質的な面も企業の特質的な面も、どちらも社員の毎日の心境、ひいては、モチベーションを左右していくものとなります。近年は、社員の働きやすい環境づくりにユニークな設備や施策を取り入れている企業も増えています。それらの施策の多くが、社員のメリットとしてだけでなく、社員の「パフォーマンスの向上による成果」という企業メリットをも導き出しているようです。

その上で、さらにモチベーションをアップさせる仕事を与えていくことがモチベーションマネジメントの真骨頂。個々の社員に効果的な問いかけを行い、社員の当事者意識や良質な思考を促し、成長意欲を駆り立てる導きも必要です。適切な課題を見出せるように寄り添い、良質なフィードバックで支えるという管理職の手腕がモチベーションマネジメントの成否を分けることになるでしょう。

組織全体のモチベーションマネジメントの効果的に行っていくためには、人事戦略も欠かせない要素なのです。