本当に強い企業が実践する「見える化」の仕組みとは

企業カルチャー

「見える化」というフレーズが我々ビジネスの世界に登場してずいぶんと日時が経ったように思います。当時は珍しかったこの言葉も、今では「わかりました!一度それを見える化したほうがいいですね!」とか「見える化してないからこうなるんじゃないの?」とか……とにかく見える化のオンパレード。

では、そもそも見える化とは何で、どんな見える化が必要で、見える化はなぜ必要なのか?を、しっかり答えられる人はどれほどいるのでしょうか?皆が使っているのに、実はしっかりとそれを説明できる人ってそれほど多くないのでは?とも感じます。というわけで……今回は見える化の姿、見える化のエキスを少し考えていきましょう。


強い企業は何が違うのか、何が強いのか

そもそも、強い企業とはどんな企業か?いろいろ定義はあるでしょうが、一つ間違いなく言えることは、変化に対して迅速に、正確に対応できる企業ということになるでしょう。ただそれは、言うは易し、行うは難し……の典型です。お題目のように「変化に対応せよ!」「迅速に対応せよ!」「正確に対応せよ!」と言われても、何をどうやればいいのか?は、皮肉ではなく、まったく見えません。

その大きな目標を達成するために、必要な次のステップは、現場の課題をすぐさま経営に持ち上げ、即座にその指示に従って実直に動くというものですが、これとて「それが出来れば苦労はしないよ」というのが本音でしょう。情報共有やナレッジ共有、フラット組織や情報インフラの整備などは、最終的には現場と管理部門との迅速なる確認のやりとりを迅速に、正確にするということになります。ただそれさえ難しい。

すると、その先に生まれた概念が現場自らが、日常的に正しい意思決定をして経営と同じレベルで問題に対処するという考えです。ただそれも非常に抽象的であり、前提としては正しいけれどそれを実現する手法がまだ未整備であり、誰もが「これ!」という方法を見出していません。それを実現させる方法――。それが見える化ということでしょう。

次に4つの見える化について説明したいと思います。


1.ギャップを見える化

まず問題を整理してみます。現場担当者が日常的に経営者と同じ目線で、日々現れる事象を判断できるためには、今の現状あるべき姿をしっかり把握することが必要です。一般的には、現状とあるべき姿との差、ギャップが、いわゆる課題となります。

つまり、課題を見えるようにするためには、現状も見えるようにしなければなりませんし、あるべき姿も見えるようにしておかなければなりません。

見えるというのは、誰もが同じ状況を把握できる。同じ判断をくだせる。同じ理解が持てるということです。


2.原因を見える化

さて、仮にギャップ=課題が見える化されたとしたら?その次のステップはどうなるのでしょうか?

第2のアクションはそれに対しての原因を探すことになります。「なぜ今の姿はこうなのか?」「なぜ思うようにいかないのか?」「なぜあるべき姿に近づかないのか?」を考えると、そこには必ず原因が横たわっているはずです。

次の見える化は、その原因を見えるようにする必要があります。数字がその一つかもしれませんし、現場の状況や、具体的な姿がそうなのかもしれません。その原因が分かったとしたら、それを解決する方法を思考し、最終的にはその解決案を見える化る必要があります。アクションプランという名前の、見える化のツールです。


3.アクションプランを見える化

最初の2つの見える化が、見えるようになったら、次のステップです。3つ目の見える化は、そのアクションプランの進捗状況のチェック表、チェック入力です。「アクションプランは出来ました」→「でも、実行されているかどうか?は誰も知りません」というのでは、それこそ机上の空論であり、絵に描いた餅ということになります。アクションプランは当初の想定通りに順調に進んでいるか?遅れているのか?遅れているとすれば、それはどんな原因で遅れているのか?を、すべて全員が(このプランに参画しているすべての人が)解かるようになっている……つまり見える化されていることが必要です。


4.仕上げを見える化

そして4つの見える化の、最後の見える化は――?

それが効果の確認、つまりチェックです。「課題は見える化しました」→「それに対する原因も見える化しました」→「それを解決するためのアクションプランも見える化しました」→「その進捗状況も見える化しました」で?「最終的にあるべき姿に近づきましたか?」と聞かれて「さぁ、それは解りません!」では、今までの3つの見える化がすべて水泡に帰すことになってしまいます。ここまで読まれてこの4つの見える化って何かと似てると感じた方は、非常に良いところに気づかれたと思います。


見える化とPDCAの関係

この4つの見える化は、実はPDCAに沿って出現されたものということになります。「強い企業、強い組織は、「常に自立し、自習する」ことを実現できる企業であり、組織です。それは自らこのPDCAサイクルを確実に、正確に回すことができる企業であり、組織であることになります。そのために「4つの見える化」を確実に実行できることが結局はその実現につながることになるのです。

見える化とは、PDCAサイクルを円滑に、潤滑に、そして迅速に回すための重要なツールというもう一つの側面があったというわけです。見える化できている企業は自立したPDCAを回す力が強く、その事が強い企業を成立させている理由ということです。

見える化がなぜ大事なのか?少しこれで見えてきたでしょうか?