目標管理の手法OKR導入がなぜ失敗してしまうのか

HRテック

目標管理の手法として注目されている「OKR」。
「Objectives and Key Results」の略で、目標と主な結果を意味します。
GoogleやFacebookなど世界的な企業をはじめ、日本でもメルカリでの成功事例から、導入する企業も増えてきました。

OKRの導入効果は多くありますが、必ずしも成功するわけではありません。
導入前に「起こりがちな失敗例」を知っておくことで、導入後の失敗回避や迅速な軌道修正が可能になります。
ここではよくある失敗例をご紹介いたします。

OKR導入で失敗する例

目標設定を一部の社員で行う

目標設定は、メンバー全員で行う必要があります。
もちろん、経営者や上層部の意向は重要ですが、現場の意見が反映されていないトップダウンの目標設定では、メンバーのモチベーションは上がらなくて当然です。
目標設定は、従業員一人ひとりが積極的に行わなくてはなりません。
経営者や上層部が企業の方針やビジョンを決定することは重要ですが、目標設定に関しては全員の意見を聞きます。部署やチームごとに話し合いで意見をまとめ、その意見を踏まえた上で上層部で目標を設定しましょう。
企業として決定した目標を改めて社内に周知し、その目標に紐づいたOKRを部署やチームで設定していきます。この、部署やチームで設定するOKRも所属する全員で意見を出しながら設定をし、さらにそれに紐づいた個人のOKRを設定します。
個人の意見が必ずしも目標になるわけではありませんが、意見を出し話し合いの場が設けられることで企業やチームの一員として意識が強まります。
自分たちで決定した目標なので、主体性をもって達成に向かうことになります。

目標の難易度が適切ではない

OKRでは、ムーンショットと呼ばれる目標を掲げます。「月に届くほどのショット」と言う訳からもわかるように、達成困難な目標のことを指します。
60%~70%達成したら成功と言われるような目標ですが、その目標設定が適切ではないとOKRの成果はでません。

「できるわけがない」という高すぎる目標や、「努力しなくても達成できてしまう」低い目標では、モチベーションはあがりません。
「努力すれば達成できる」というちょうどよい目標設定が、モチベーション向上に繋がります。

OKRの共有がされていない

OKRは、組織全体の一人ひとりがで取り組まないことには意味がありません。組織の目標に紐づく個人の目標まで全員がいつでも確認できる状態でなくてはなりません。また設定だけ行われ、進捗状況が確認できないようだと、「目標設定を行っただけ」で終わってしまいます。
この問題を解決するためには、サービスの利用が効果的です。
目標や達成スケジュール、進捗状況などが誰でも可視化できる状態にすることで、OKRが浸透されやすくなります。

人事評価と連動させる

個人の目標と達成度が図れるため達成度を人事評価に反映させてしまいたくなりますが、個人が達成度を上げるため目標設定を低くしてしまってはOKRの意味がありません。
また、達成できないような目標をトップダウンとして設定してしまうと、個人のモチベーションは下がってしまいます。
OKRは、人事評価と結びつけないことが一般的です。

フィードバックや振り返りミーティングを行わない

目標を設定して振り返りを行う機会がないと、OKRは形骸化してしまいます。
都度振り返りをしながら修正を加え軌道修正を行うことで、短期間でPDCAをまわしていけるというメリットがあります。
1か月~3か月の期間で定期的にミーティングの場を設け、業務内容や目標の達成度を確認しながら柔軟に目標の変更を行うことも大切です。

業務体制が整っていない

現場で働くメンバーの業務量があまりにも多い場合には、無理にOKRを導入してもかえって混乱を招き、浸透はしていかないでしょう。
目標の設定や見直しに使う時間が確保できるようにするほうが先決になりますが、あまりにも多忙な現場はOKRの導入より先に改善したほうがよい課題があるかもしれません。

まとめ

よくある失敗例をまとめましたが、運用してみないとわからない問題もでてくるでしょう。しかし、なぜ失敗するのかを理解することによりOKRの運用方法もわかってくるでしょう。
企業にとって新しい施策を取り入れる時は、トライ&エラーを繰り返し自社にとって効果的な運用を行うことが成長への鍵となります。