従業員のエンゲージメントを高めるために必要なこと

チームワーク 従業員マネジメント

高いエンゲージメントを持つ従業員は幸せに働く従業員でもあります。
業績の向上は企業の目標になり得ますがエンゲージメントの高い従業員を持つことは、企業の存在意義や目的とも考えたい時代に突入しています。
ここでは従業員エンゲージメントの高い状態とはどんなものか、高めるために必要なことは何かという点を紐解いていきます。

エンゲージメントの高い従業員とは

エンゲージメントの高い従業員は生産性が高く、離職も少ないと言われています。企業の全体業務を良く理解し、自分の業務に対して日々工夫や改善を図ることにも積極的で、業界動向にも常にアンテナを張っています。職場のメンバーとも尊敬し合いながら協力し、組織の目標に向かって全力を尽くします。
自分が属する組織の理念に信仰心ともいえるほど納得感を持っています。組織に密に関わる意欲が旺盛で自発的な取り組みを行える従業員です。

企業の生産性低迷や従業員離職の原因については、世界的にも多くの研究や調査が続けられています。
従業員のエンゲージメントがその原因を阻止する要素だと認識される一方で、高いとは言い難い実情があるようです。

従業員のエンゲージメントの基盤

従業員のエンゲージメントを生み出す源になるものは、経営トップが持つ企業理念やビジョンです。
働く場所があり、仕事があり、給料をもらえるだけでは、従業員のエンゲージメントは得られません。

経営トップが、その理念やビジョンをどう発信し、従業員と「どのように」共有していくかがカギとなり、従業員ひとりひとりのエンゲージメントの扉を開くことにつながっているようです。

企業理念やビジョンの共有とは、単純に言葉を伝えるだけでは、絵に描いた餅で終わります。
理念に沿った戦略と具体策を示すことで浸透させていく必要があるようです。

従業員のエンゲージメントを高めるためには?

多くの企業が課題とする従業員エンゲージメントの強化です。経営トップの理念やビジョンを基に、それらを浸透させ従業員のエンゲージメントの向上につなげるためには具体的な戦略が必要です。
どんな視点が必要で、それぞれの視点がどのように従業員に影響していくのかを踏まえてご紹介していきます。

当事者意識を持てる雰囲気づくり

従業員に働きやすい環境を提供するために何ができるかを考えることも必要です。
福利厚生や職場の設備や活用ツールの充実度など物理的な部分はストレス防止策となります。
しかし従業員エンゲージメント向上のためには、目に見える物理的側面だけでは不十分です。

従業員の仕事に対する「当事者意識」を促していかなければなりません。「当事者意識」は、個人として尊重されている、会社に必要な存在という自覚を生み出すものだからです。
従業員が「当事者意識」を働かせるには、従業員が自分の仕事は「自分でコントロールできるという認識」を持たせることが有効です。
そのための「信頼して任せる」「要所でサポートする」仕組みづくりが必要になってきます。

従業員も関わる施策づくり

企業の決める施策や上司の指示に従わせることは、どんなにそれらを完璧に守って遂行する従業員であっても、当事者意識や自己重要感を持つことはできないでしょう。
企業や組織やチームという段階的なステージにおいて、従来はトップダウン的に上の立場にある者が決め、そのまま下の従業員たちに流す、つまり従わせることが主流でした。

業務を遂行する中で浮かぶほとんどの「なぜ、そうするのか」という疑問が、往々にして「上から伝達された決まりだから」であしらわれてしまっていたのです。これが低い従業員エンゲージメントの要因のひとつとも言われています。

これを防ぐには、企業の施策やルールを、共有する理念やビジョンを基に組織と従業員一人一人が一緒になって作り上げていく姿勢が必要です。自分も考え、理解し、納得した施策やルールに対して、従業員のエンゲージメントは強くなるでしょう。順守し、遂行するモチベーションを従業員が自身の内側から湧かせるものとなるのです。

従業員の成長を促すリーダーの育成

従業員が個々の仕事を懸命にこなすとき、企業の理念やビジョンとの距離ができてしまいがちです。
理念やビジョンによって湧いた「よし、やろう!」と思う従業員の意欲を、フォローし、バックアップするのが従業員の業務に一番近い上司の役割となります。

従業員の成長の集積がチームの成長となり、企業組織全体を底上げしていきます。
上司が、従業員の成長を促すためにどうマネジメントしていくかが課題となります。
そのマネジメントの流れも、それぞれの上司の裁量に任せるのではなく仕組みをつくることが有効です。

上司の煩雑な業務や心理的な負担を減らし、エンゲージメントを持って部下の成長のための業務に取り組める環境を、個々の管理職にも提供していく必要があるでしょう。

具体的にどのような指導やコミュニケーションをしていけばいいのかという点を明確にし、問題点を共有し、リーダーレベルの管理職がともに高め合える組織形成が求められます。本気で「従業員の成長」の効果を上げる実感が上司自身のモチベーションと能力をも高めるようです。

従業員のエンゲージメントは、従業員自身が企業を十分に理解し納得していることと、企業側が従業員を理解し支援していくことが欠かせません。その相互理解を促すためのコミュニケーションを充実させる仕組みづくりが従業員のエンゲージメントを高め、業績向上につながる戦略となるでしょう。