複数の拠点、従業員の働き方の多様化や入れ替わりなど様々な要素が組織構成に影響します。従業員エンゲージメント向上のための対策は規模の大きな企業ほど複雑になるでしょう。
だからこそ重要視され求められる従業員のエンゲージメントの向上。
今日から始められる効果のある従業員エンゲージメントの向上戦略を紹介します。
■従業員を理解する
従業員のエンゲージメントを高めるには従業員をより理解しなければなりません。
有意義な答えを得る方法として、意識調査の実施が有効です。
この意識調査のポイントは質問の数を少なくし、コンスタントに行うということです。
質問の数が多ければ多いほど、一つの質問に掛ける時間が短くなります。
良く考えずに適当な回答をする可能性が出てきてしまうのです。
質問が多ければその分、回答も増えるので読んで処理する時間も取られることになります。
つまり少ない質問をしてコンスタントに実施すれば、回答率が上がり回答の内容も濃くなります。
また回答を収集する側も、膨大な仕事量となる心配がなく、回答をきちんと把握することができます。
シンプルで効果的なエンゲージメントに関する調査を実施しましょう。
■共有文化の構築
従業員エンゲージメントはマネージャーだけの問題ではありません。組織に属するすべての人に関わることがらです。調査もマネージャーの仕事を遂行するためだけのものではありません。
調査結果の共有が特に重要なポイントになります。
単に結果を報告することに留まらず、組織全体に可視化し従業員のエンゲージメントを引き出す実践になるのです。
共有によってエンゲージメントの低い従業員、もしくは調査にあまり関心のない従業員の回答を促し、難しい質問でもよく考えて回答するようになるでしょう。
ですから調査についての結果の共有は、必ず全員に対して行ってください。
この取り組みは、組織内の権威の高い層からの働きかけが効果的です。
変革を先導する立場にない場合は、上層レベルに意識調査やその結果の共有や実践に移していくことの承認や支援を得ましょう。
その権限を得る際には、そのために割く時間やネットワークがあり、その後のフォローを行えるかを確実にしておくことも大切です。
調査は組織の良い面と悪い面を浮き彫りにします。そのどちらも共有することをおすすめします。
結果の共有の手順はいかの通りです。
1. 結果全体に目を通す
明らかに公開すべきではない個人情報や攻撃的な内容がないかを確認します。
2. ミーティング設定
できるだけ多くの参加者からの意見が得られるタイミングで、結果を振り返るミーティングを設定します。
3. 共有のための対話
指摘ポイントからではなく、ポジティブな面を強調することから始めるのが得策です。
4. 次のステップの決定
課題フォローのための具体的な行動プランを作成します。
始めは難しく感じるかもしれませんが、変化は速くなります。日常習慣を変更するときと同じような感覚でしょう。
分かっているだけでなく実践に移さなければ効果は得られません。
■従業員へのフィードバック
調査の際には、結果を反映した行動を実践するコミットメントが必要です。
調査をして聞いておいて何もしないとなれば従業員は離れてしまうでしょう。
従業員の回答には2つのタイプがあります。
1.簡単に解決できる小さな課題となる回答
例:オフィスのごみ問題、使用するソフトウェアの種類など
2.解決が難しい大きな課題となる回答
例:マネジメントスタイル、業務上の役割に対する不満
小さな問題については即座に取り組み解決します。これは実践していることを認識してもらうアクションになります。その後も調査に回答する意欲を湧かせるでしょう。大きな問題について取り組むことは、企業文化や業績に長期的なインパクトを与えることになるでしょう。
すぐに行動が浮かばなかったとしても、その問題の解決のためのアクションプランを共有し続けましょう。
その後の行動に関わらず、フィードバックへの反応に一貫性を持たせましょう。
その手順は以下の通りです。
1. 回答に対する感謝
どのタイプの回答に対しても必ず行うことで回答の価値を伝えます。
2. 回答を承認する
回答に対する理解とその価値を示します。共有によってさらに有効な回答をする意欲を持たせることができます。
3. 解決策を問う
従業員はより驚くほどに効果的な解決策を持っているものです。問題を共有して考えてもらうことで解決する一員という意識を生み出します。
紹介した手順で進めれば、従業員主導の組織文化を創り出すことができます。課題の提供だけでなく、解決策を考えることを促し、積極的に行動することの価値の認識を高めるからです。
調査でデータを集めることも、何かをしたいと思っている行動にほかなりません。
好奇心を満たすことや、人事としてのタスクをこなすだけに貴重な時間と資源を使わないようにしましょう。
従業員の成果を向上させ組織文化の向上につなげていくことに取り組みましょう。