組織マネジメントに必要な7つのSと成果を上げる管理職の行動

7s OKR・パフォーマンス

管理職は、部や課といった組織の長として、ミッションを果たし、目標を達成する責任が課されています。当然、自分一人の力で出来るわけではなく、組織として成果を上げるのです。

一方で、指折りの人材・潤沢な予算が与えられるとは限りません。限られた経営資源で結果を出さなければいけないのです。のんびりしていると、6か月、1年といった期間はあっという間に過ぎていきます。

管理職には組織マネジメントのスキル、つまり

・組織をスムーズに運営する
・メンバーのモチベーションを高めて能力を引き出す
・組織の生産性を高め最大限のパフォーマンスを発揮することが求められます。

組織マネジメントスキルを習得・向上させていくには、まず全体像の把握と要素間の連携に関する理解が欠かせません。

今回は有用なフレームワークとして、「7つのS」を紹介します。

1980年代に7つのSを提唱したのは、コンサルティングのリーディングカンパニーであるマッキンゼーのウオーターマン氏とピーターズ氏です。

当時は組織の構造や計画策定といったハード面へのアプローチのみが、組織変革の解決方法とみなされていました。これに対し両氏は、別の解決方法があるのではないかと考え、編み出したのが「7つのS」です。

■7つのSとは何か

7つのSは、「ハードのS」と、「ソフトのS」に区分されます。

管理職の多くは、どうしても「ハードのS」に目を向けがちですが、双方をバランスよくマネジメントすることで、より組織の生産性を高めることができるのです。

ここでのマネジメントとは、7つのSの視点から、組織の目指す姿と現状のギャップを洗い出し、改善に結び付けることを意味します。

なおかつそれぞれのファクターは個別に存在するのではなく、相互につながりあってており、組織マネジメントには、7つの要素全体と相互の関連性を俯瞰的な視点でとらえることが重要です。

■ハードのS

ハードのSは、以下の3つで構成されます。

戦略 (Strategy))
組織のミッションや目標を達成するために策定された、予算・要員の配分や、マーケティング・生産・研究などの活動の方向性です。

それぞれの戦略は独立して存在するわけではなく、例えば商品開発を担当する部門が立案するマーケティング戦略は、営業戦略・人事戦略さらには企業全体の経営戦略と密接に結びついています。

戦略は、事業部や事業本部といった上位の組織から部・課といった下位の組織へブレークダウンされます。

組織構造 (Structure)
例えば人事部なら、異動・昇格調整、人事規程管理・労働組合調整、給与計算、社会保険運用、福利厚生などに機能を分類し、組織を構成します。

その上で、人的生産性向上のためコアではない給与計算など一部の機能はアウトソーシングの判断がなされます。

指示命令系統も、組織構造を考える上で重要です。下位組織に権限を委譲するか、上位管理職に権限を集中するかを、その業務の特性によって決めるのです。

一般的に、マーケティングのように創造性が求められるセクションは分散権限型、工場のように品質と安全が重視される職場では集中権限型が多いようです。

システム (System)
例えばメーカーなら研究・開発、量産化準備、購買、生産、物流、プロモーション、販売といったサプライチェーンの業務プロセス、会議体など情報共有体制、業務運営をサポートするERP(業務統合プログラム)体系等

ハードのSは、管理職の意思によって比較的構築が可能です。会社組織全体に及ぶ場合は、経営層に働きかけ実現します。

■ソフトのS

「ソフトのS」は以下の4つで構成されます。

スキル (Skill)
社員やそのチームが兼ね備えている業務上のノウハウであり、求められている成果に対して大切であり、かつ、競争相手にはないスキルであればあるほど優位に働きます。

スキルには、資格や専門知識だけでなく、顧客との信頼関係や課題解決力なども含まれます。

人材 (Staff)
メンバーの資質や性格、業務遂行や自己研鑽を通じた一人ひとりに対する人材育成方針を意味します。

スタイル (Style)
組織のリーダーシップスタイルやカルチャー、目標達成に向けた業務の進め方、情報共有の密度などを意味します。

例えばリーダーシップスタイルは4つのパターン(人間関係重視型、規則中心型、戦略型、民主型)があり、企業の経営方針・メンバーの業務経験・業務の特性等を勘案して、最適のパターンを選びます。

共有価値 (Shared value)
上位組織(会社全体・事業部・部など)を含めて、その組織が目指している理念や価値観、ビジョンを意味します。「7つのS」の核となる要素であり、価値観が共有されていなければ、組織のベクトルが分散してしまいます。

■管理職に求められる行動とは

組織は人によってできています、いくら精緻な戦略・組織・システムを組み上げても、人の心は動きません。

管理職は、部下の動機付けが図れるようリーダーシップを発揮し、業務遂行を通じてメンバーのスキルを伸ばし、成果達成に向けてチームの結束力を高めていく行動が求められます。

そのためには、「3つのS」だけではなく、「4つのS」の視点から自らのマネジメントスタイルについてあるべき姿を描き、現状とのギャップを埋めていく努力が欠かせないのです。