成功事例に学ぶ組織開発のススメー1on1ミーティングの導入ー

OKR・パフォーマンス

現在では人事領域の方法論に注目が集まっていることに加えて、組織開発にも注目が集まっています。
日本はこれまで「終身雇用制度」「年功序列制度」が一般的な組織構造として用いられるケースが多かったものの、リーマンショック以降は社員の雇用形態や入社のタイミングが多様化し、上司が年下、女性、あるいは外国人と言ったケースも多く見られるようになりました。

また同時に個人においても仕事に対するモチベーションの源泉も多様化し、現在の日本社会ではそれまでスタンダードであった組織構造の見直しが盛んに行われるようになってきました。そんな背景から、世の中の変化に対応するにはどうしたら良いのか、社員個人個人のモチベーションを考慮しつつ、組織を機能させていくにはどうしたら良いのか?というアプローチに注目が集まっています。

今回はその組織構造において現代のスタイルに合わせて開発された成功事例を紐解いてお話します。


そもそも、組織開発とは何を開発するのか

組織は個人の集合体であり、個人それぞれが組織のために最適な働き方をすることができその結果最大のパフォーマンスを提供できることで大きく成長することできます。故に、組織開発とはいわばそこに所属する個人それぞれがモチベーション高く働けるような環境を提供するために開発を行うことであり、制度でもあります。

開発すべきこと

  • モチベーションの維持・向上
  • 組織内リーダー創出のための教育、文化
  • 価値観の共有
  • 様々な変化に即時対応可能な準備環境や柔軟性
  • ナレッジ共有や異なるグループ間での協同体制構築

など、開発すべきことは多岐に渡って考えられます。

これらの項目全てを時代の変化に対応して開発することが求められており、現代日本では欠かすことのできない領域と捉えることができます。欧米諸国では日本企業よりも一歩先をいった組織開発手法が確立されているため、日本人の働き方が多様化してきた現在では優秀な人材ほど外資系の企業に採られてしまうことが考えられるからです。これからの日本企業が世界でも大きなプレゼンスを発揮し続け、成長していくためには最優先事項と考えられるでしょう。


「小さなリーダーシップの構築」目指した組織開発の成功事例

Yahoo!Japanでは、2012年に現在の組織構造から脱皮すべく大きな組織開発を行いました。それは社員一人ひとりのリーダーシップの醸成。インターネット業界では変化のスピードが早く、会社を成長させる上で今までのトップダウン方式のマネジメントではスピードに追いつけないため、現場と密接に関わりのある社員それぞれが意見をいうことでスピードに追いついていくことができる体制の構築を目指したのです。

そこで、取り入れた取組みの1つが上司と部下のコミュニケーションの活発化と信頼の醸成。今でこそコミュニケーション手法として導入も増えてきた「1on1ミーティング」という手法を取り入れて上司と部下が定期的にコミュニケーションを図り部下に対して適切なフィードバックを行える体制を取りました。これにより部下は定期的に上司に相談や要望を意見できる環境を得ることができ、今まで以上に主体的に仕事に取り組めることでリーダーシップを培うことできるようになったと言います。

また、それに加えて組織のダウンサイズ、現場への権限委譲を進めていくことで現場がより裁量権をもって働くことができる環境も整えました。Yahoo!Japanではこうして培ったリーダーシップを現場で遺憾なく発揮し、意思決定スピードを早め、現代社会の変化に対応できる組織作りを実現させたのです。


組織開発に答えはなく、常に変化に応じた対応が求められる

このように、時代時代に合わせて組織体制を見直し導入することが今後の会社の存続を分けていくのです。

特に今はITの目覚ましい技術進歩でAIを搭載した機械が何でもこなせる時代になってきました。そこから生じている大きな変化はオープンイノベーションと言われるように自動車や農業など、今までITとは全く関係のなかった産業までもがこれからの競争力を保っていくためにはITを取り入れる必要が生じてきた、ということです。それによって企業は商品自体の開発に加えて新たな組織を作る必要があり、またその働き方も考慮した組織開発を全体を通じて行う必要に迫られるのです。

今後ますます技術の進歩が進んでいくと思われる社会では、ITの導入が進んでいくことで無くなってしまう職業の予想もされているほどです。間違いなく、将来的には全ての産業で組織開発が必要となるはずです。従来のままの組織体制で変化が必要に感じられている方はYahoo!Japanのように組織開発を率先して行っていくことで現代に即した変化を取り入れてみてはいかがでしょうか。