仕事の質とスピードを決める仮説思考

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仮説思考は先が見えない状況でも前進するエネルギー源です。仮説思考なしには、良質な業務遂行も企業の存続も難しいといわれる時代。
苦手感、抵抗感、反論をお持ちの方にはぜひ目を通してほしい内容です。
何故、仮設思考がビジネスの世界で、不可欠と言われるほどの思考力なのかを知っていただく一助になれば幸いです。

■仮説思考とは

仮説思考とは問題や物事に対して、読んで字のごとく仮の説を導き出すことから始める思考です。
まず見極めるべき結論にあたりを付け、逆算していく形でその根拠や解説を探り出していきます。
あたりを付けた結論について、なぜそうなのか、本当にそうなのかと検証しながら、仮説自体をより的確で、精度の高いものにしていく思考法です。

仮説思考は場数を踏むごとに決断力が付き、失敗の確率を下げると言われています。

■確実ではないがより良い結論

仮説というくらいですから、仮説思考は絶対的な答えとは言い切れません。
そう考えて、「ならば仮説を立てること自体が無駄なのでは?」という反論を持ったり、仮説を立てる意義がよく理解できなかったりして、積極的に仮説を行う気になれないという人もいるでしょう。

しかし確実ではないけれども、仮説をしないままの思い付きで動いてしまっては、途中で停滞や失敗をしてしまう確率が高まります。
仮説なしで徹底的に情報を集めようとすると時間を取られることがほとんどです。
経過する時間とともに、集めた情報の鮮度が落ちているというケースも多いものです。

仮説思考は「見えない」「難しい」「急速に変化する」状態でも、より良い答えで動き続けるための有効手段なのです。

■仮説思考のメリット

仕事の質とスピードを上げるために仮説思考を行う具体的なメリットを紹介していきます。

【1】絞り込んだ情報収集ができる

情報は集め出すとキリがないということを認識している人は多いのではないでしょうか。

いつしか、情報を得ることが目的になってしまい、結論を導き出すことに着手しないまま時間が過ぎてしまうこともしばしあるようです。仮説を立てることで、とりあえず仮説の検証に必要な情報を絞ることができます。
もしくは、すでにある情報で検証できることもあるはずです。

広い範囲からの膨大な情報を精査しながら集めていたときとはケタ違いの短い時間で、その仮説が「真」か「否」かが見極められます。
違っていれば最初に戻るわけですが、圧倒的に少ないダメージでスタートに戻ることができることになります。

【2】問題解決を短期間にする

問題解決においては、その問題の根本が何なのかを見つけ出すことが最優先です。つまり問題解決のためには「問題発見」が欠かせない第一段階です。そして第二段階として発見した課題に対してどうするのが最適解となるのかを考えます。

いずれの段階においても、仮説を基に検証を繰り返すことで、たとえ間違った仮説でもプロセスを効率的にする有効な消去法になり得るのです。闇雲に探るよりスピードはグッと上がります。
また少ない情報で早めに具体的な行動に落とし込めることも、その仮説による判断、意思決定、つまり結論までの道のりが短くなります。

【3】手だてが見つかる

コンサルティング業界では日々顧客の新しい課題解決に向き合うため、仮説思考は欠かせません。
コンサルタント業界に限らず、顧客に提案をする営業、業績アップのための企画、部下の育成を担うマネージャー、スタートアップ時の経営者の方でも、難しい……、分からない……と悩んでいるだけでは仕事にならないでしょう。

どんなに真剣に悩んでも、前に進むことはできず、時間の無駄、ストレスの増加などマイナスなことしか運んできません。
仮説を立てることで、ゼロ地点から脱出し思い悩む前の行動を促します。

仮説を立てているわけですから闇雲ではないはずのその行動の中から、新たな創造性が生まれてくることも多いのです。
仮説を立てることが、結果的に無理、無駄、ムラを省くことにつながり精度の高い答えを導き出していくのです。

【4】却下の仮説の可能性

【1】の情報収集の項目で仮説が「真」か「否」かという言葉を使いました。しかし「否」となる仮説がダメな仮説やレベルの低い仮説とは言い切れないことも付随するメリットの一つです。
仮説を立て、それを立証するための流れ全体を俯瞰し、それを繰り返していくプロセスの中で、思わぬ可能性の拡大や新しい発想の種に出会うこともあるからです。

仮説思考のメリットを見ていくと、仮説思考で導く「あたりを付けた結果」がどれくらい優れたものになるかよりも、仮説思考のプロセスをどれだけスピードアップできるかという点もメリットを最大限に享受するポイントになっているようです。

まとめ

仮説思考に慣れた人たちは、頭の中で自動的に仮説、検証を繰り返し、行動や成果の質が高いといわれます。誰でもトレーニングで仮説思考力を鍛えることはできます。
意識していなかった人も、行動の前に仮説を行う時間を取ってみてはいかがでしょうか。