OKRの意味とは?歴史から利用方法と事例までをひも解いてみた

成長 OKR・パフォーマンス

KPIやKGI、OJTにMTGなど、最近の経営や組織体制についてはアルファベットで書かれるものが増えてきました。漢字とは違い、パッと見ただけでは意味が推測できないこれらの用語は1つずつ意味を理解して使っていかなければ、仕事中のコミュニケーションが誤解だらけとなってしまいます。今回は、こうしたアルファベットの用語のうち、OKRという言葉をご紹介しましょう。Intelで初めて導入され、今では主要な先進企業では必ず用いられているといっても良いOKRとはいったいどのようなものなのでしょうか。


1.OKR、その意味とは

OKRとは「Objectives and Key Results」の略称で、日本語では「目標」と「主要な結果」と訳されます。組織のメンバーや企業で働いている人それぞれに、目標と結果を明確に設定することで、組織自体のオペレーションとコミュニケーションを効率化していく仕組みです。仕事と一言でいっても、非常に幅があり一人一人が行っていく業務自体にはバラつきがあります。このバラつきは、1つの仕事の達成と組織やチームとしての仕事の達成にズレが生まれる場合があることは実体験としても明らかではないでしょうか。こうしたチームの仕事の目標と個人の仕事の目標を紐づけていくことで、お互いのコミュニケーションを円滑にし目標達成に協力して行うことがOKRのポイントです。

 


2.OKRの歴史

OKRの歴史はそのまま目標管理の歴史といっても過言ではありません。そのベースとなっているのはピーター・ドラッガーのMBOsに遡れます。その後、S.M.A.R.TやKPIsを経て、現在はOKRsに移っているというわけです。企業にとって目標を達成することや組織の生産効率を高めることは、そのまま企業の成長度合いにも結び付く極めて重要なことなのはもはや常識でしょう。この常識を生み出したのがピーター・ドラッガーのMBOsといえます。

1980年代に入ると、MBOsを更にレベルアップさせようと様々な議論が沸き起こりました。このきっかけとなったのは、日本のバブル経済であり、その結果生まれたのがS.M.A.R.Tです。S.M.A.R.Tとは「Specific Measurable Agreed-upon Realistic Timely」の頭文字を取ったもので、それぞれ「具体的・数字になっている・達成可能・現実的・期限が明確」となっています。この法則を活用して企業の目標を定めることにより、働いている個々人にとって、あるいはそれぞれのチームにとってのコミットメントをより具体的なものにすることに成功したのでした。

ビジネスの更なる発展と変化の速度、そして何よりもネットワーキングの発達によって、マネジメントの主体は、組織全体からチームへ、チームから個人へときめ細やかになっていきます。その決定版とでもいうべき考え方がOKRです。企業の生産性は最終的にはそこで働く人に帰結する。大規模な生産体制や労働集約的な発展を遂げてきたビジネスですが、最終的な生産性向上に最も影響を与えるのは、知的労働における個々人のパフォーマンスであるという結論に至ったのです。


3.OKRの導入

OKRはアンディ・グローブ(元Intel)によってインテルで導入され、その後創業期のGoogleに取り入れられた仕組みが最初といわれています。その後、多くのシリコンバレーの最先端企業に取り入れられ発展しました。OKRがシリコンバレーで受け入れられた最大のポイントは、自律性や目的といった、所謂モチベーション理論を実践できるためといわれています。これは、OKRを導入したGoogleでも非常に注目されました。OKRは目標と結果に別れていますが目標を定めるときにはいくつかの条件を満たしておく必要があります。

・野心的であること

・定量的であること

・期限が明確であること

・チームでアクション可能であること

特に、野心的であるというのは、Google創業者が実際のビジネスを広げていく上で非常に重要視しているポイントです。こうした形で、OKRは企業に受け入れられていくことになります。


4.OKRは何を個人にもたらすのか

OKRの最大の特徴は、マネージャー・リーダーとそうでない人との役割分担とそこに生まれる相互コミュニケーションにあります。OKRは目標と結果に大きく分かれていますが、マネージャーやリーダーは目標だけを設定し、部下やチーム全体に結果の設定を委ねることもできるのです。こうしたチームマネジメントは多くの場合、円滑で効率的なコミュニケーションを生み出します。OKRは全ての従業員に影響を与える仕組みです。人は自分が大事にされていて初めてそのチームへの貢献心が生まれます。OKRはこうした心の仕組みを上手く利用するチームマネジメントの手法といえるのです。