事例に学ぶ、1on1ミーティングの進め方

コーチング・フィードバック

現在では広く知られる上司と部下のコミュニケーション方法の1つとなった1on1ミーティング。早速会社に取り入れることでお互いの理解を深めて部署の環境改善やモチベーションのアップにつなげていくなどの対策を行っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、この1on1ミーティング、活用の仕方や進め方が思わしくないと正しい効果は得られません。ここでは実際に導入しようにもどのように進めたらよいのか分からない、導入しているがあまり効果を感じないという方にも向けて適切な効果を生むための1on1ミーティングの進め方について実際起こりうるケースとともにお話します。


ケース①:1on1ミーティングの目的が認識不足でなかなか効果が得られない

これから1on1ミーティングを導入しようと考えている企業であれば、まず最初にぶつかるべきことが、「なぜ1対1でミーティングを行う必要があるのかわからない。毎日顔を合わせているしその都度質問すればいいのでは?」というようなことです。これは1on1で話す文化が全社的に慣れていない職場では必ず発生します。

ですので、そうならないために必ず事前に目的を話すことが大事となります。1on1ミーティングの対象者に向けて「何のために1on1ミーティングを実施するのか」ということに加えて、これは単なるコミュニケーションとは異なり、「あなた(部下)のために行う1on1ミーティングなのです」と目的とともに明確にその意志を伝える必要があります。

これがしっかりとできていないといつの間にかただこなすだけになってしまい、目的が曖昧で特に意味のないコミュニケーションに終始してしまいます。1on1ミーティングを実施する意図と、誰のためにやるものなのか明確に伝えた上で、対象者には何を相談したいか自分なりに考えてもらうことで本来の目的通りの成果を得ることができるのです。

また、一度だけ目標の設定のためだけに行うというケースも散見されます。これでは入り口では認識の共有ができますが、その後思ったように進まず、最終的な評価時期に上司と部下の間で大きく認識に乖離が発生してしまうことがあります。可能な限り定期的に1on1ミーティングを実践し、上司は部下がその都度進路が正しく進んでいることを確認してあげることが大事です。正しく進路が進み、目標が達成されやすいだけでなく部下にとって信頼のおける上司という認識も生まれ社員のモチベーションアップにも繋がっていくのです。


ケース②:言いたいことが纏まっておらず無駄話に終始してしまう

1on1ミーティングはただ漠然と、回数をこなすだけでは意味のないことをケース①でもお伝えしました。また目的をもって双方に認識の共有がなされている場合でも十分とはいえないのです。これはコミュニケーションの一貫ですがあくまでも「ミーティング」ですので、必ず何を話したいかアジェンダを組んでおく必要があります。大人数の会議では当たり前に設定されるアジェンダですが、1on1というように人数が少なくなるとアジェンダを決める等の行為が面倒で直接口頭でやり取りすれば良いというようになってしまいがちですが、ミーティングに人数は関係ありません。

効果的、且つ効率的に進めるためには必ず1on1ミーティングといえどもアジェンダを組む必要があるのです。でなければ話したい論点から次第にズレて話が発散してしまい、本来話したかった内容の半分も話せずに気付いたら時間ばかり過ぎてしまうというケースも少なくないのです。始める前には目的を伝えた上で部下に30分で話したいことを考えてもらいます。そこで普段の会議と同様にアジェンダを組みミーティングに望むのです。

また、アジェンダは必ず部下に考えてもらって下さい。1on1ミーティングは部下のものです。それに対して上司がフィードバックを行っていくというものですので必ず部下がアジェンダを毎回構成して実施してことが効果的な1on1ミーティングの進め方となります。


ケース③:議論に夢中になってしまいその場限りのフィードバックの機会になりがち

1on1ミーティングの設定、アジェンダの組み立て等行いいざミーティングとなるのですが、ここでミーティング中でも必ず心がけておくべきことがあります。

それは、ミーティング中のメモです。会議中には一般的にも議事録、議事メモとして共有されるものですが、1on1ミーティングにおいても上司、部下ともにメモをとりミーティングがどのような内容であったのかいつでも思い出せるようにしておきましょう。ミーティング中には部下からの相談に加えて、上司や会社への要望なども飛び出すはずです。

しかし、これがメモされずに実行されないままだと部下の上司への信頼は損なわれ、結果として意味のないミーティングという烙印を押されてしまいます。意味のあるミーティングにしていくためにも必ずどんな内容でミーティングを行ったのか、双方ともに認識にズレがないように進めていくことで正しい効果を生むことができるのです。