多くの企業では、新入社員が入社した直後からオンボーディングプロセスが開始されます。
オンボーディングプロセスは、新入社員がスムーズに組織に適応し、早期に役割を果たして組織の成長に貢献することが狙いですが、オンボーディングの過程を踏んでも新入社員の早期離職、定着率の低下がみられる場合があります。
そのような場合、どのような問題があるのでしょうか。
オンボーディングの効果が見られない時の見直すべき点
計画と準備
適切に計画されず、準備されていない場合、新入社員は十分なサポートを受けることができません。彼らが役割を理解し、組織に適応するのに必要な情報やトレーニングが不足している場合があります。目標を明確にし、新入社員に提供する情報やトレーニングのスケジューリングなどきちんと計画しましょう。
コミュニケーションの不足
新入社員と組織の間で十分なコミュニケーションが行われていない場合、新入社員は組織の文化や自分の役割についてについて十分な理解を得ることができません。また、新入社員に質問や不安がある場合、それに対応できる仕組みが不足している場合、新入社員は不満を覚えるでしょう。
フィードバックとサポートの不足
新入社員が仕事のパフォーマンスや進捗状況に関するフィードバックを受ける機会がない場合、新入社員は成長することが困難になります。また、フィードバックを行うだけではなく、新入社員が困っている場合、十分なサポートができているかを見直すべきです。
組織文化への適応の困難
新入社員が組織の文化に適応するのが難しい場合、組織に馴染むことができず、不満や不安を感じる可能性があります。
問題が見られた場合、組織は早急にオンボーディングプロセスを改善する必要があるでしょう。
オンボーディングプロセスの見直し
オンボーディングが効果的だと感じている企業でも、企業の成長度や時代背景により、時折見直すことも必要です。
その際、再度以下の点を見直すことが大切です。
目標と期待の明確化
新入社員に対し、役割や責任、期待される成果について明確に伝えることが重要です。組織の新メンバーが自分の役割を十分に理解し、組織からの期待を認識できるようにすることが大切です。
カスタマイズされたトレーニングや研修
新入社員の役割や経験に応じて、カスタマイズされたトレーニングプログラムを提供します。新入社員が自らの役割を果たすために必要なスキルや知識を習得できるようにします。
フィードバックとサポートの提供
新入社員が仕事に関するフィードバックを受け取り、困っている場合にはサポートを提供する仕組みを整えましょう。新入社員が成長し、仕事に適応できるようにサポートします。
組織文化の理解と適応
新入社員が組織の文化や価値観を理解し、適応するためのサポートをしましょう。彼らが組織に適応しやすくなるよう、組織の文化や期待に関する情報を提供していきましょう。
コミュニケーションと関係構築
新入社員が上司やチームメンバーとの良好な関係を構築するためのコミュニケーションを促進しましょう。オンボーディングプロセスを通じて、相互の理解と信頼を築くことができるようにすることが大切です。
定期的な見直しと改善
オンボーディングプロセスを定期的に見直し、改善の機会を作りましょう。新入社員側からのフィードバックを収集し、プロセスを調整して、より効果的なオンボーディングになるよう改善していくことが必要です。
オンボーディングと新人研修
オンボーディングと新人研修は、両方とも新入社員や新しいメンバーが組織に参加する際に行われるプロセスですが、目的が異なります。
オンボーディング
目的
オンボーディングは、新入社員や新メンバーが組織やチームに適応し、生産的になるためのプロセスです。組織文化や価値観の理解、役割や責任の認識、チームメンバーとの関係の構築などが重視されます。
内容
オンボーディングプロセスは、ウェルカムプログラム、組織の概要や歴史の紹介、チームメンバーとの接触、役割や責任の明確化、トレーニング、フィードバックなどが含まれます。
新人研修
目的
新人研修は、新入社員や新メンバーが必要なスキルや知識を習得し、役割を果たすために必要なトレーニングを受けることを目的としています。
内容
新人研修プログラムは、業務や役割に関連するトレーニング、技術的スキルやツールの使用方法、プロセスや手順の理解、安全やコンプライアンスに関するトレーニングなどが含まれます。
オンボーディングは「新入社員が組織文化や役割に適応するプロセス」で、組織全体の一員としての準備。新人研修は、新入社員が具体的な仕事や役割を果たすために「必要なスキルや知識を習得するためのプロセス」ということです。
両方を組み合わせて実施することで、より効果が期待できます。
さいごに
今では当たり前のように行われているオンボーディングプロセスですが、もともとは、人材管理や組織開発の分野が成熟してきたことや、従業員の継続的な関与や満足度が重要視されてきたという背景から導入する企業が増えていったという経緯があります。
導入しているだけでは思ったような効果が得られない場合があるかもしれません。また、従来の方法が最良とは限りません。
もう一度見直してみてはいかがでしょうか。