定着率の高い、社員にとっても会社にとってもいい組織風土を作るには

企業カルチャー

2021年10月、厚生労働省は、新規大学卒者の3年以内の離職率は大学卒で31.2%になるといわれています。

今後、少子高齢化社会が進むことから、さらなる人員不足が懸念され、新しい人材の確保に努めるだけではなく、社員の定着率を上げることも各企業の中で重要な課題の一つとなっています。

ここでは、離職に繋がる理由と、どういった施策を行えば社員の定着率につながる組織風土ができるのかについてをお伝えいたします。


1.管理職への教育を行う

社内の人間関係でも、一番といっていいほど影響力が高いのは上司と部下の関係です。退職理由の中でも多いのは「上司との関係性」というデータもよく見受けられます。「パワハラにあった」「放置されて何も見てくれてない」など、上司とのコミュニケーションの取り方に悩むということはよく聞く話ではないでしょうか。

上司は上司で、部下にどのように接したらいいのかわからない、自分がされてきた教育方法しか知らないため、そのようにしかできない、といった悩みを抱えている人もいるようです。

テレワーク下では、上司が部下の様子を監視するような姿勢になってしまい、かえって関係性がこじれてしまうというような例も多く見られるようです。

このような問題を解消するため、管理職クラスには、「部下とのコミュニケーション方法についての教育を実施する」というのは一つの方法といえます。コーチングの手法や、若手社員との意識の違いなどを学ぶことにより、部下との接し方を変えるきっかけとなります。

また、同じ管理職クラス同士で、部下についての悩みを共有することにより、その会社の風土にあった解決方法が引き出される可能性もあります。


2.社員同士の交流の機会を作る

上司との関係だけではなく、社内全体の人間関係も退職理由に大きく影響します。

「仕事が忙しい」「社内がピリピリしていて話かけにくい」など、社内での交流が不十分だと、業務内容の連携も取りにくく、生産性が下がってしまうこともあります。

実際に導入し、効果があった施策の例は、下記のようなものがあります。

年齢や役職の近い社員を集めて教育もかねて社内研修を実施する(その後交流会を実施)
期末ごとに、会社が補助を出して部署内での交流会を開催する
年に一度は社員を集めての交流会を行う
年に一度社内表彰の機会を作り、優秀な成績を収めた社員に表彰式を実施する
社内公式サークルを作る

しかし、コロナ禍では、実施することができないことも多くあります。
また、テレワークの普及により、コミュニケーション不足が生産性を下げてしまうことも問題視されています。

とはいえ、対策を取らないでいては社員のモチベーションは下がる一方です。
オンラインのツールをうまく利用して、コミュニケーションを取っている企業も多くあります。
テレワークを機に、オンラインで朝礼や夕礼を実施しはじめた企業もあります。
業務の連携だけではなく、短い時間でも一人一人が発言したり、メンバーに声をかけたりという時間を設けることで、コミュニケーションの活性化が期待できます。

業務外であっても、ランチミーティングやオンライン飲み会を推奨し、会社で補助を出すなどの取り組みをしている企業もあります。
社員同士がお互いを知るきっかけを会社で作ることで、自然と社員同士で交流を進めていく土台が醸成され始めるとコミュニケーションも円滑に取れるようになるでしょう。

ただの飲み会だけでは社員によっては嫌だと感じる人も多いため、「社内の交流を促進するため」など目的を明確にし、無理強いをしない」など、注意は必要です。


3.人事面談・社員意識調査で実態を把握する

定着率を上げるために、色々な施策を行ったけれどもうまくいかない、という会社は、社員の本音を聞くことができていないという可能性があります。

社長や人事の思い込みであれこれ実施しても、社員は疲弊するばかりです。

そういった状態に陥っている会社は、社員の本当の声を聞くために、社員一人一人の人事面談の実施や、外部のコンサルタント会社を利用した社員意識調査を思い切って導入してみるのもよいかもしれません。

ただし、もし実施するのであれば、次のポイントに気を付けて下さい。

目的を各社員に認識させる

人事面談や意識調査を実施する時失敗になりやすいのは、その意図が社員に伝わっていない時です。「よくわからないけど、やらされている」という意識の社員が多いと、結果につながりにくくなります。社員一人一人がその目的を理解できるように、会社側から発信を行ってください。メールで一方的に配信して終わり、などでは、その意図は社員には伝わりません。説明会を開くなどして、伝わるように工夫をしましょう。

社員の声を聞きっぱなしにしない

人事面談も、意識調査も、社員の大事な時間を割いて実施するものです。さらに言うと、「何かがこれで変わるのかもしれない」という期待をもたせることになります。そのため、実施をするということは、社員が期待する施策を実施する、という覚悟を持って行ってください。

人事面談や社員意識調査は、かなりコストも時間もかかるものですが、社員の離職率を下げ、定着率の高い組織風土を作る根本的な解決につながりやすいのはこの施策ともいえます。

社員一人一人の声を聞くことで、システムの導入や制度の整備など、会社にとって何が必要なのかが明確になってくるでしょう。

定着率の高い、社員にとっても会社にとってもいい組織風土を作るために、丁寧にかつ迅速に取り組にでいきましょう。