年代別・職種別:若手社員の離職防止のコツ10選

ミーティング 従業員マネジメント

売り手市場の昨今、有効求人倍率は過去最高を記録し、全国的に全ての業種で人手不足が叫ばれています。それに応じて、当然採用単価も上昇し、事業を推進していくにあたっては人材確保、人材教育が一層重要な世の中となってきました。特に若手社員の定着、教育は少子高齢化の影響で生産人口も減少しており、採用難易度は上昇の一途を辿っているためにその定着は重要性を増してきています。では若手社員の流出を防ぐにはどうしたら良いのか、市場の転職動機を鑑みた上でそのコツをお伝えます。今回は世代と職種別に分けてその対策について考えてみます。


1.20代前半×営業系職種の転職ニーズとして多い「成長意欲」に沿ったキャリアプランを用意する

まずは20代前半で営業系の職種の方の転職ニーズとして圧倒的に多いのが将来の成長に関することです。終身雇用制度や年功序列を軸としたキャリアップが見込めなくなってきた現在では、若い世代が自分の能力向上を一番に考え仕事を選んでいます。

特に20代前半と若く、且つ営業系のような自分の成果が数字に直接反映されるような職種の若手社員は社会で活躍したいと考える人は多いので彼らにとって最適な成長プランをしっかりと明示してあげることが重要です。

3年後、5年後、10年後どうなっていたいのか、しっかりとヒアリングを行った上で目標を設計し、四半期ごとに見直してフィードバックを行っていけるような制度を作り一緒に伴走してあげることで若手社員のやる気を維持し離職を防止しましょう。


2.20代前半×技術系職種の転職として多い「最先端技術に触れる」ことができる環境を用意する

次に20代前半で技術職の方の転職ニーズを紐解いてみます。一番良く耳にするのが「最新の技術」を学ぶ環境があるのかどうかということです。

営業系とは少し異なり、技術系人材は理系出身者が多く、研究を経験している人が多いため学習意欲が非常に高いことが特徴です。ですので、一世代前の技術を繰り返し使っていくのではなく、常に世界の最新のトレンドで戦える技術力が学べるのかどうか、が非常にポイントとなります。若手社員にとって魅力となる最新技術の学習環境を社内で整え、少しずつでも取り入れていく姿勢を示すことで離職を防止しましょう。


3.20代前半×管理系職種の転職ニーズとして多い「将来まで安定して長く働く」ことができる環境を用意する

そして次は管理系の職種です。営業系、技術系とは異なり、できるだけ長く将来まで安定した環境で働くことができることが一番の転職ニーズとなります。このために必要なことは場当たり的な仕事ばかりをお願いしていくのではなく、規模の大きい息の長い案件に就かせてあげることで仕事の安定性と継続性を明示してあげることが重要です。

まずは練習として場当たり的な仕事をお願いしていく場合でもそればかりでは愛想を尽かして逃げられてしまう可能性もありますので、会社が持っている仕事全体の規模感を伝えた上で、将来的に任せたい仕事と継続性について示してあげることで離職を防止しましょう。


4.20代後半×営業系職種の転職ニーズとして多い「裁量権の多い仕事に携わる」ことができる環境や環境を用意する

続いて年代層を1つ上げて20代後半の転職ニーズを見ていきます。20代後半の営業系職種ではそれまでの成長を活かした案件に携わって会社にとって重要な仕事をこなし活躍すること、またはリーダーやマネージャーなど重要な役職について今度は自分が後輩を指導していきたい、そんなニーズが多くなってきます。

既存の事業で十分な結果を示せるようになってきた若手社員には積極的に新しい事業を任せていくことや入社歴の浅い社員を下に付かせリーダーやマネージャー業務を経験させることで新たな課題を与えて会社にとって必要不可欠な人材であることを示していくことが重要です。ステップアップをさせてあげることで成長を形で示し離職を防止してきましょう。


5.20代後半×技術系職種の転職ニーズとして多い「市場への貢献性の高いプロダクトを作れる」環境を用意する

20代後半の技術職ではこれまでの技術に対する学習意欲から、本当に自分の技術は市場の役に立っているのか知りたいとう欲求に変わってきます。ですので、この世代の転職ニーズは市場への貢献性が高いプロダクト作りに携わること、になります。

もしも自社の開発体制が顧客の声を察知し、エンジニアの正しくフィードバックすることができていない環境であったり、または改善に対する意見交換ができない場であったらこれを改善していくことで若手社員の貢献意欲を満たし離職を防止していきましょう。


6.20代後半×管理系職種の転職ニーズして多い「残業が少ない等の理想の働き方」が実現できる環境を用意する

次に管理系職種で20代後半の場合、今まで安定的で継続性の高い仕事をこなしてきたことから業務に慣れるのが早くその結果仕事が集中してきてしまうために残業等の働き方に関するニーズが多くなってきます

管理系の仕事は社内に必要な事務関連の仕事に加えて機密性の高い仕事が集中するために慣れてくる人にどうしても集中してしまう傾向にあります。そのような状況を逐一観察し、チームのリソースを再分配したり、社内に必要な働き方が実現できる制度を導入したりすることで慣れてしまう人が損をしない環境作りが求められてきます。慣れてくるとなかなか気付きにくいですが、よく見てくると不満は周りに溢れているものです。しっかりとキャッチアップし改善していくことで離職を防止しましょう。


7.30代前半×営業系職種の転職ニーズとして多い「安定した業務内容で働ける」環境を用意する

比較的ベテランの領域に差し掛かる30代の前半に目を移してみます。営業系は今まで「成長意欲」「会社への貢献意欲」というように社員自身の成長軸にそったニーズで推移してきました。30代に差し掛かると多くなってくるのは「安定した業務」というように今までひたすら走ってきた環境から離脱し、プライベートにも時間を使うことができるような働き方を実現したい、そんなニーズが多くなってきます

営業は完全に退きマネジメントのみに力をいれてもらい、年下の社員の営業効果を最大化するための施策に全力を注いでもらう等の業務を個人の状況を鑑みて取り入れていくことでニーズにあった環境を用意し離職防止に繋げていきましょう。

営業は完全に退きマネジメントのみに力をいれてもらい、年下の社員の営業効果を最大化するための施策に全力を注いでもらう等の業務を個人の状況を鑑みて取り入れていくことでニーズにあった環境を用意し離職防止に繋げていきましょう。


8.30代前半×技術系職種の転職ニーズとして多い「全体を管理することができる」環境を用意する

続いて技術系の職種です。技術系は今まで「学習意欲」「市場への貢献意欲」という形でニーズが推移してきました。30代に差し掛かると技術系ではプロダクトを一作業員として作るのではなく、全体を設計し必要な人員を集めて開発管理を行っていくことに対するニーズが強くなってきます。

プロダクトマネージャーのような形で少しづつ関わってもらい、将来的には自分で設計し開発責任を持ってもらえる環境を用意してあげることでニーズを満たし、離職防止をしていきましょう。


9.30代後半×管理系職種の転職ニーズとして多い「専門性を見付けられる」環境を用意する

最後に管理系の職種です。この職種では今まで「安定性と継続性のある仕事」「残業等の働きやすさ」という形でニーズが推移していきました。ここで一旦時間ができてくるとそれまであまり意識してこなかった専門性を身に着けることで確固たる市場価値を向上させたい、というニーズが出てきます。

この世代になればほぼ社内でこなせない仕事も少なくなってくるはずですので例えば外部研修を受けさせてあげる、それをもとに社内研修を設計から実施まで担ってもらう等の人事領域に携わってもらうのが良いかと思います。しっかりと市場価値を向上させてあげることで離職防止に繋げていきましょう。


10.全体として必要になる納得のいく評価制度とフィードバック

最後に全体に共通して必要なこととして、評価制度とそのフィードバックが挙げられます。中にはうちには確固たる評価制度があるから大丈夫、という方もいるかもしれません。ですが実はそれが一番危険なのです。先にも触れたとおり、今は終身雇用や年功序列といった従来の精度が崩壊しつつある世の中です。

従来の制度は常に見直す必要があり、時代時代に合わせた評価制度を導入し、若手社員全員に納得のいくものに仕上げていく必要があります。職種に応じては定性的にしか評価することができず、どうしてもその精度やフィードバックが曖昧になってしまう傾向もあります。この評価をしっかりと行える環境は会社のために働く上で一番強い動機になりますので、今一度見直し、改善点があれば改善を図っていくことで離職に繋がらないように準備していきましょう。