ミドルマネージャーが職場を活気づけるための方法やコツを説明します。まず初めにミドルマネージャーの役割について確認しましょう。上司は間違った手法を取ってしまっていないか、ぜひチェックしてみてください。
1.ミドルマネージャーの役割
ミドルマネージャーとは「中間管理職」と呼ばれます。もしかしたら日本では中間管理職と呼んだ方がしっくりくる方も多いのかもしれません。文字通り組織において「中間」の立ち位置であり、職種で言うと部長や課長がこの位置づけになります。経営者(社長)が描くビジョンを社員へ伝達し、組織を引っ張っていく非常に重要で、責任も大きな「架け橋」のような立場になります。
ミドルマネージャーは組織にとって非常に重要な役割を持ち、ミドルマネージャーの質が組織の未来を左右すると言っても過言ではありません。しかし、ミドルマネージャーを取り巻く現実は、働き方や社員の考え方も多種多様で、ハイスピードで日々変化していく現代社会についていけず、疲弊してしまっている方も多いのではないでしょうか?ミドルマネージャーが疲弊し、力を失っては組織としての機能が成り立ちません。
そんな最重要ポジションのミドルマネージャーが、本来の組織を引っ張っていく力を取り戻し、職場を活気づける方法を説明していきます。
2.ミドルマネージャーの業務改善
まず、ミドルマネージャーの果たすべき役割はどんなものがあるでしょう?
「マネジメント」で有名なドラッガーの言葉を借りると、
1.目標を設定する
2.組織する
3.動機づけとコミュニケーションを図る
4.評価測定する
5.人材を開発する
と言われています。
ドラッガーのマネジメントから見てもわかるように、ミドルマネージャーの相手はお客様というよりは、組織の部下になります。組織の部下の育成が結果的に、組織の発展(成果)へ繋がるのです。ここにミドルマネージャーは注力しなければいけません。しかし、現実問題は多量のプロジェクトを抱えているなど、ミドルマネージャーの業務負担が多いため、本来の役割を担えていない場合が多いようです。
そこでまずはミドルマネージャーの業務改善を行うことが組織として必要になります。プロジェクトの運営はミドルマネージャーからその下のリーダーに落とすなど、ミドルマネージャーとしての能力を活かせる環境作りを始めましょう。
3.ミドルマネージャーの待遇改善
ミドルマネージャーの待遇の改善は二の次になっていないでしょうか?経営者にとっては耳の痛い話ではあると思います。しかし、ミドルマネージャーとして組織の運営を担っていくものに対しての報酬が低く、負担や責任だけが増加する状況が、各種メディアでも多く取り上げられています。
組織全体として見て、ミドルマネージャーを活かしきることが、組織の未来を担っていることは明白です。他にもミドルマネージャーの主たる役割である人材育成の面でも重要です。本来はミドルマネージャーの人材育成を受けた者が、次世代を育成する図式になるはずです。しかし、昨今では「管理者になりたくない」といった声が多く聞こえてきます。単にやる気の問題だけでしょうか?
部下からすれば報酬もあまりもらえず、責任と業務量に圧し潰されているミドルマネージャーを見て、自分も目指そうとは思えないはずです。それだけ、この報酬等の待遇改善の問題も無視のできないものになります。あなたの組織のミドルマネージャーはしっかり報酬を受けて、働いているでしょうか?ミドルマネージャーが活発に働けているようなら、その組織自体も明るくなる利点もあります。ミドルマネージャーのモチベーションも組織のパフォーマンスに直結します。
4.ミドルマネージャーの育成
業務改善、待遇改善がきっちり整ったら、次はミドルマネージャーがその責においてしっかり役割を果たす番です。ただその前にミドルマネージャーとしての育成がしっかりされているでしょうか?まずはミドルマネージャーの育成について確認していきます。
ミドルマネージャーの地位につく者は、業務経験も豊富で、他の者よりもマネジメントについての知識が豊かであるのは必然でしょう。しかし、単にマネジメントと言っても経営についてだったり、業務の指導だけではありません。部下の一人一人の力を引き出し、組織を運営するためにはコーチングの研修を取り入れることや、プレゼン能力、交渉能力などの多岐に渡る能力開発を行うことが有効です。
また、ミドルマネージャー同士の交流の機会を作り、互いの経験に対しての意見交換や助言をし合う風土を作ることもお勧めです。
このようにミドルマネージャーは、単に組織において歴が長いから任せるのではなく、人材育成をする責任を担うものとして、しっかり育成されたものである必要があります。そしてミドルマネージャー自身の育成を継続する仕組みを作る必要もあるでしょう。ミドルマネージャーの育成は、組織の育成に直結します。ミドルマネージャーの育成の環境を整えましょう。
5.ミドルマネージャーが職場を活気付かせるための方法-コーチング
ではミドルマネージャーが実際の現場である「職場」を活気付かせるための方法を説明します。先に説明した通り、ミドルマネージャーには組織のトップとの橋渡し役になり、人材育成や評価をし、組織を目標へ向かって、引っ張っていくという様々な役割があります。そんなミドルマネージャーの役割を大きく2つに分けると「職場の方向性を示し、導く」ことと「人材育成」であると言えます。
この2つを効果的に実行していくための方法があります。それは「コーチング」です。コーチングとは組織全体や集団へのものもありますが、基本的には個人対個人が望ましいでしょう。「コーチングは言葉はしっているけど、実際の方法は知らない」と言った方も安心してください。コーチングはスキルです。スキルなので誰でも学べば身につけられます。この機会にぜひ取り入れてみましょう。
では、コーチングとは一体どんなものか簡単に説明すると、
対話によって相手自身に考えさせる、気付きを与え、相手の力を引き出す「人材育成の技法」になります。
例えば1対1の面談の場合だと、上司は部下を成長させたい、成果を出すためにこうあってほしいと上司側の主張を押し付けがちです。もちろん、場合によっては必要なことでしょう。しかし、それでは部下の主体的に考え、行動する力は育まれません。そこを上司が対話の中で部下から引き出すのです。
そして、コーチングにより部下が主体的に考え行動を始めます。次の段階で必要となるのが、部下の向かう方向が組織の向かう方向と違っていた場合、そこは上司であるミドルマネージャーが軌道修正を加えなければなりません。軌道修正においてもコーチングを取り入れ、なぜ軌道修正が必要なのかを部下に考えさせ、導くことが重要です。せっかく部下自身が考えて行う主体的な行動が、上司に一方的に軌道修正されてしまっては、モチベーションが下がってしまい、コーチングの効果がなくなってしまいます。
コーチングを取り入れ実践することで、ミドルマネージャーの役割である「方向性を示し、導く」こと「人材育成」が円滑に実践できることがイメージできたでしょうか?コーチングを行う上で、ミドルマネージャー自身のコーチング能力の育成も重要になりますので、ミドルマネージャー自身の資質の向上にもなりますし、なにより部下とのコミュニケーションが深まる利点もあります。ぜひ取り入れてみて下さい。
6.ミドルマネージャーの職場を活気づかせるコツ
ミドルマネージャーが職場を活気付かせるためには、先ほどのコーチングの他に絶対的なコツがあります。それは「リーダーとしての魅力をつける」ことです。古典的な方法だと感じられますが、ここはミドルマネージャーにとって一番重要です。ここでいう魅力とは、容姿や外見ももちろん含まれますが、考えや業務の理解などの仕事に対する姿勢も加わり、総合的に見てリーダーとしての揺るぎない人物となることを言います。
コーチング等の技法はもちろんなのですが、コーチングや業務の指示を行うにあたって、リーダーとしての魅力がないと部下はついてきません。コーチングでもリーダーとして認めた人間でないと成り立たない可能性もあります。身嗜みから始まり、日常の挨拶や仕事ぶりと、これを機会にミドルマネージャーの方は普段の自分自身を評価してみてはいかがでしょうか?
7.最後に
いかがでしたでしょうか?ミドルマネージャーの皆様が組織の運営をしていく役に立てると幸いです。ミドルマネージャーは責任も大きく大変な役割ではありますが、その分やりがいもとても大きなものではないでしょうか?ぜひ今後の職場を活気付かせ、明るい未来を作っていきましょう。