できる上司の1on1ミーティングスキル!リーダーに必要なコーチングメソッド

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1on1ミーティングが様々な企業で取り入れられる中、コーチングの手法が注目されています。

コーチングによって社員の育成に大きな効果をもたらしている一方で、うまく実践できるリーダーが少ないという懸念も広がっているようです。リーダーとしてのコーチングの実践に必要な要素と質問手法についてご紹介します。


リーダーのコーチングの要素

「教えない」「アドバイスしない」「否定しない」が前提になります。コーチングを行うには「しないこと」を意識したほうがいい人が多いかもしれません。この前提の実践ができないと部下の本当の理解と納得、行動からの成長を促すことができず、堂々巡りの時間を割き続けるという負のスパイラルに陥るのです。

日々、忙しくて時間がないと考えるリーダーは、教え、アドバイスすることで簡単解決しようとします。相手のいかなる行動も言動も否定は避けるべきです。相手の思いや考えを引き出さないまま、自分の経験からの教えやアドバイスをすることが無意識に否定となる可能性もあるという認識も必要かもしれません。

教えることは、相手に考える必要性がなくなるため自律性を育てることができません。アドバイスは、相手を尊重できず、自発性を削いでしまうケースが多いでしょう。考えることを促せなければ、可能性や創造力を引き出す域に達することは難しくなります。

コーチングでは、何が必要かというと「対話する」「一緒に考える」ということです。

リーダーが相手に考えさせる内容を考え、「質問」を通して対話を構築するのがコーチングです。

教えたりアドバイスしたりするよりも、時間を要するものですが、コーチングによって広がる可能性には計り知れないものがあります。

負のスパイラルに陥らないためにも、効果のある「質問」が必要なのです。


コーチングに役立つ7つの質問

「リーダーが覚えるコーチングメソッド」(マイケル・バンゲイ・スタニエ著)ではコーチングに高い効果を発揮するといわれる7つの質問が紹介されています。

リーダーが持つ「時間がない」という問題、部下の「成長を促す」という課題の両方を解決する質問の流れです。時間が掛かってしまいがちなコーチングですが、この質問の流れを活用すると10分程度の実践でも完了できます。リーダーにとっても部下にとっても学びと時間対効果の期待の持てる手法です。

1.キックスタートクエスチョン

「What’s on your mind?」

始めの質問は、その後の流れを決めてしまう重要なものです。

アイスブレークや雑多な世間話ではなく、話すべき内容について「どう考えている?」とダイレクトに問いかけるのが有効で、時間をとらずに相手を集中させ、短時間に答えを引き出します。

2.AWEクエスチョン

AWEとは、「And What Else?」の頭文字です。

コーチングの世界でも特に有名で不可欠な質問ともいわれています。1の「どう考えている?」に対する答えだけでなく、その答えがベストでないことが多いとも言われます。この「ほかには?」という質問で相手の一番話したい、聞いてほしい核心を引き出せるのです。この質問を優先することで、アドバイスしたいという衝動を抑えることにも有効なようです。

3.フォーカスクエスチョン

「What’s the real challenge for you here?」

このことの本当の課題、問題は何?と問いかけることによって、本人が感じている本当の課題を確認することができます。双方で課題や問題を共有し、結果への期待値や期待する対象の認識のずれを防ぐことにつながります。

4.ファンデーションクエスチョン

「What do you want?」

どうしたいの?という問いかけによって、そもそも部下は何が欲しいのか、どうしたいのかという点を聞き出す質問です。ときに、リーダーが思っているよりも大きなことを考えていたり、もっと細かな部分に注力したいと思っていたりすることもあるのです。これをクリアにすることで部下の意欲を高める効果もあるようです。

5.レイジークエスチョン

「How can I help?」

上記のファンデーションクエスチョンによって、浮彫りになった部下の望みを、この質問によって依頼に変換させます。この流れで、私にできることは?と聞くことで、部下にとっては何をどう求めればいいのかが解決します。リーダーも的を射た手助けが行えるでしょう。

6.ストラテジッククエスチョン

「If you’re saying yes to this, what are you saying no to?」

これがYESなら、NOは何?この質問は、部下に優先事項を自覚させNOの事柄を聞くことで「やらないこと」をクリアにさせる効果があります。YESの事項を質の高いものにする目的があります。

7.ラーニングクエスチョン

「What was most useful for you?」

最後の質問になります。「一番学んだことは何?」、その対話の要点を強く印象に残すことにつながります。また、お互いにその建設的な対話の有意義度も認識できます。共有事項ともに一緒に前に進むことができるでしょう。

何を聞くかで答えが変わり、結果も変わります。

コーチングを行う際には、「教えない」「アドバイスしない」「否定しない」に徹し、相手のためになる効果的な「質問」を投げかけていくことがリーダーの役割。ご紹介した7つの質問を参考にされてみてはいかがでしょうか。