結果だけでなくプロセスも見て評価してもらいたい!人事評価との適切な付き合い方

コーチング・フィードバック

富士通が先陣を切って導入したのが1993年、それから20年以上の時が経ち、日本企業の人事評価制度にも、成果主義がすっかり浸透しました。

その一方で、成果主義の弊害を懸念する声も強まり、プロセスにも焦点を当てた評価制度が注目を受けています。我々は、こうした人事評価と上手に付き合っていくためにも、制度の仕組み、とりわけ結果とプロセスが評価にどう結び付くかを理解しておいた方が身のためです。


「結果にコミット」する成果主義

有名芸能人の起用やインパクトの強いビフォアアフター映像と共に、「結果にコミット」のフレーズは多くの視聴者の記憶に残りました。

「価格が高い」「無理な食事メニューやトレーニングを強いられる」など批判の声もありましたが、今までのフィットネスクラブが、「結果にコミット」してこなかっとことも事実です。英会話教室もゴルフ教室も同じです。

成果主義は「結果にコミット」する人事評価制度です。

各社員に設定された半期目標などを指標として、その達成度合いに応じて賞与支給や昇給が決まります。それだけではなく、各昇進ステップの滞留期間廃止等と組み合わせれば昇進やポスト配置にも影響を及ぼすことが可能です。

当初は比較的緩やかだった成果主義も、徐々に人事評価制度に色濃く反映されるようになり、80%以上の企業で「成果主義によって同期の間でも昇進・昇格や給与・賞与に大きな差がつくようになった」との調査結果も出ています。


成果主義のメリット

成果主義は、成果によって人事評価にメリハリをつける制度ですあり、主なメリットをまとめると以下の3つです。

組織の活性化

成果が即インセンティブにつながるので、頑張る社員社員のモチベーションアップや、お互いに競い合う職場風土の醸成につながります

コミットメント重視の徹底

上層管理職から一社員まで達成目標を課し、結果に対する責任の所在を明確にできます

抜擢人事の促進

若い優秀な社員をポストに就けると同時に、成果の上げていない役職者を降職し、役職ポストの新陳代謝を促すことができる。


成果主義のデメリット

一方で、成果主義については、問題点も指摘されています。

成果の評価基準の曖昧さ

営業職における売上基準は別として、成果をはっきりと定量的に測定するのは困難です。

チャレンジ意欲の低下

目標達成によって評価されるので、ビジネスモデルの変革や新規事業導入といった、リスクが高い不確実なイノベーションへの挑戦を避けるようになります。

組織の結束力の低下

成果主義といっても、多くの企業では相対評価、つまり組織内で誰かの評価が高くなれば自分はそれだけ割を食うことになります。その結果、足を引っ張るまではいかなくても、協力し合うといったカルチャーが失われ、組織のチームワークが低下し、全体としての業績悪化につながります。

短期的業績の偏重

成果主義は、あくまで半期又は1年サイクルの結果で評価が決まります。そのため、例えば顧客先との信頼関係構築や、業務スキルの向上・ノウハウの共有といった長期的視点に立った課題はおざなりとなりがちです。


プロセス重視への注目

最近は、行き過ぎた成果主義を見直す声が強まり、最近ではプロセス評価に注目が集まっています。ただし、あくまでプロセスのみで評価するわけではなく、成果主義にプロセス評価を組み入れるという考え方です。

プロセス評価導入に当たっては、いくつかのポイントに留意しなければなりません。

行動特性(コンピテンシー)の把握

プロセス評価はただ頑張った、頑張らないを感覚的に判断するものではありません。成果達成の過程において発揮した、戦略構築・課題形成、問題解決・実行、コミュニケーション、リーダーシップ、価値創造といった行動特性(コンピテンシー)の把握が欠かせません。

難度の高い目標設定

プロセス重視との組み合わせで、より難度の高い目標へのトライも促すことができます。たとえ達成できなくても、高い目標にチャレンジしたそのプロセス・行動が評価されるのなら、失敗しても頑張ってみようという機運が生まれます。

達成目標のブレイクダウン

例えば店舗の販売職なら、単純に売上高に焦点を当てるだけでなく、継続的な顧客獲得につながる指標、顧客一人当たりの訪問回数、新規顧客の獲得数、既存顧客の継続率などにブレイクダウンして評価します。その方が社員自身も行動をとりやすくなります。


人事評価との付き合い方

バリバリの成果主義であれ、プロセス重視の評価制度であれ、そこには評価者の主観や裁量の余地が入るのは変わりありません。それは直属の上司(課長など)とは限らず、部長やさらにその上の意向が働くことが多いのです。

人間ですから、馬が合う合わないはあるでしょう。ただし、それに一喜一憂するのではなく、自分で掲げた目標達成に向けに向け地道に努力し続けることが大切です。そのためにも自らが強みとするコンピテンシーをたな卸しし、成果発揮に向けたロードマップを練り、着実に実行するのです。

見ている人は、あなたの努力をきっと見ていてくれます。