優れたマネージャーに必要な必須スキルとは
組織のメンバーや部下が、常に完璧な仕事をするとしたら、マネージャーの仕事はラクというより、不要です。しかし、どんな組織にも、常に完璧な仕事をしていける人はいません。だからこそ、世の中の組織にマネージャーが存在し、完璧でないメンバーたちへの支援に対し、管理職レベルの給与という経費が使われているのです。
マネージャーの役割は、成長を促すこと。
コンスタントにメンバーの心境やその将来までを扱う業務によって、その役割を果たしていく仕事なのです。
組織をマネジメントすることは、決して簡単ではなく、マネージャーは様々なスキルを駆使しなければなりません。例えば、高いコミュニケーション能力、傾聴力、そしてフィードバック力。これらの能力に欠けたマネージャーは、流れに逆らって泳ぐ魚のようなもので、前進が難しいのです。
優れたマネージャーたちは、フィードバックの効果と重要性を十分に認識し、マネージャーに与えられた責務を遂行します。その結果、メンバーや組織の前進を促していくのです。
フィードバックの課題
多くのマネージャーたちには、上司としての効果的なフィードバックを考える前に考えなければならない課題があるようです。フィードバックがマストの責務であるにも関わらず、マネージャーが抱えるある悩みや言い訳によって「遂行できない」「しない」という状況は、現代でもよく聞かれる話です。
その悩み、言い訳とは、「時間がない」「忙しい」です。
さらには、フィードバックを「ネガティブなもの」と捉えているマネージャーは、メンバーの意気消沈や摩擦を防ぐためにフィードバックを避けるということすらあるようです。
これを克服することが最初の課題となるマネージャーは少なくないはずです。
優れた部下が転職してしまう理由
フィードバックの語源をご存知でしょうか。フィードとは「feed」で元は「food」、つまり食べ物です。フィードバックは、メンバーにとって、その組織の中で社員として生きていくための主食といっても過言ではないかもしれません。
評価というのは、フィードバックの一つの側面でしかありません。フィードバックは、上司とのコミュニケーションの機会でもあり、そのコミュニケーションの中で、部下は見ていてくれる人、理解してくれている人がいる安心感を得ます。優れたマネージャーは優れたコミュニケーターでもあります。
また、コーチングする(部下にとってはされる)貴重な機会にもなるでしょう。それらの機会の蓄積は部下が成長していくための、まさしく「food」なのです。フィードバックがないということが直接的な転職理由に上がることはないかもしれません。しかし、転職を決意するメンバーのあらゆる本音の理由の背景が、フィードバック不足で逃した貴重な機会の影響を受けていることはマネージャーが自覚するよりも多いものかもしれません。
逆に、有効なフィードバックの得られる組織では、メンバーたちの組織へのエンゲージメントも強くなり、仕事に対する士気も高まっていくはずです。
上司が審判になってはいけない
マネージャーの考えるフィードバックと、メンバーが欲しているフィードバックに差があることを、フィードバックギャップといいます。優れたマネージャーはこのギャップを埋めるためにも、フィードバックを活用します。
フィードバックの役割を、進捗の確認や成果を評価することと捉えているマネージャーは、結果的に業務遂行するという責務も果たせないでしょう。ギャップのあるフィードバックから、ポジティブな行動は生み出せないからです。
評価や指摘に満ちたフィードバックに対して、メンバーはどれだけコミュニケーションを続けたいと感じるでしょうか。どんなにマネージャーがフィードバックの頻度を上げても、嬉しくもなければストレスにすらなってしまう可能性があります。
質の高いフィードバックとは
メンバーは、行動し、コミュニケーションやコーチング要素を含む質の高いフィードバックを受け、また行動するというサイクルで動いていきます。メンバーもフィードバック=ほめ言葉ではないことは承知しているでしょう。その認識があったとしても、マネージャーはポジティブとネガティブ両方のフィードバックを与えることが大切なのです。その上で、やはり欠かすことのできない業務管理に効果的なフィードバックとして、指摘をしたり、メンバー自身の気付きを促したりする必要があります。
個人的で、率直で、フランクな形式がフィードバックの理想像。
世の中の多くの部下たちは、より個人的で、率直で、フランクな形式でのフィードバックを理想としているのだとか。悪いマネジメントのループに陥ってしまう前に、マネージャーが行っているフィードバックがどれくらいその理想に一致しているか振り返ってみることも重要です。
フィードバックは「意義深いものであれば5分でも十分」とも言い換えられます。つまり、質の高いフィードバックを行おうとすれば、「時間がない」「忙しい」などの上司側の言い訳も「通用しなくなる」ということなのです。是非これを機会に意義のあるフィードバックを心がけて見てください。