2025年改正!育児・介護休業法で企業は何をどう変えるべきか?【4月・10月施行】

2025年は、育児・介護休業法(育介法)が4月1日および10月1日の2段階で改正・施行されます。企業にとって、今まさに準備すべき「対応ポイント」が明確になってきました。
ここでは改正の要点と実務で押さえるべき対応ヒントをまとめます。

改正の背景とスケジュール(押さえどころ)

厚生労働省の改正案や解説を踏まえ、主要な施行日は下記のとおりです。制度の運用開始や就業規則の改定時期を意識して準備を進めましょう。

施行日 主な改正項目(例)
2025年4月1日 子の看護休暇の拡充、育児休業等の取得状況公表対象の拡大、就業規則の整備義務化等
2025年10月1日 柔軟な働き方措置の義務化(複数選択肢の制度化)、個別意向聴取・配慮義務の導入 等

(参考)厚生労働省:「育児・介護休業法 改正ポイント」PDF
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf

改正ポイントと企業対応ヒント(6選)

  1. 子の看護休暇(子の看護等休暇)の拡充

    対象年齢が「小学校3年生修了まで」に拡大し、取得理由も拡充されます。時間単位での取得が想定されるため、就業規則や申請フローの明文化が必要です。

    対応ヒント:取得理由と手順を就業規則に反映し、代替要員や業務調整ルールを事前に設計しておきましょう。

  2. 育児休業取得状況の公表義務の拡大

    従業員規模に応じて育休等の取得状況公表の範囲が拡大します。データ収集・集計方法と公表窓口(自社サイト等)を決めておくことが重要です。

    対応ヒント:社内の人事データを整理し、年度ごとの算出方法を標準化しておきましょう。

  3. 柔軟な働き方措置の義務化(2025年10月1日施行想定)

    事業主は「始業時刻変更」「テレワーク」「短時間勤務」などの選択肢を複数制度化し、対象者が選べる体制を整える必要があります。

    対応ヒント:現場の運用実態をヒアリングして、現実的に運用可能な組み合わせを設計してください。パイロット運用で課題抽出を。

  4. 個別の意向聴取・配慮義務の導入

    妊娠・出産の申出時や子が一定年齢に達する前に、本人の希望(勤務時間・勤務地・制度利用の希望など)を聴取し、配慮することが求められます。

    対応ヒント:面談テンプレートや電子フォームを用意し、記録の保管ルールまで決めておくと運用がスムーズです。

  5. 所定外労働制限の対象拡大/介護離職防止の措置強化

    所定外労働制限の適用対象が拡大され、介護に関する個別周知や配慮も強化されます。

    対応ヒント:業務棚卸や業務分担の見直しを行い、代替措置(外注・業務改善・一時的な増員)を選べるようにしておきましょう。

  6. 周知・規程改定の義務化と運用整備

    改正点は就業規則等に反映し、従業員への周知や管理職教育を行う義務があります。改定タイムラインを逆算して動くことが鍵です。

    対応ヒント:改定スケジュールを作成し、労使協議・社内説明・Q&A作成・現場研修を段階的に実施しましょう。

実務導入のモデルケース(すぐ真似できる例)

  • 子の看護休暇を時間単位で運用。年間枠を設定し、申請はクラウドの勤務管理ツールで簡単申請。
  • 従業員300人超の企業は育休取得率を年次で公表。改善施策(男性育休取得促進の社内キャンペーン)を併記。
  • 10月施行に向けて、テレワーク導入・始業時刻変更・短時間勤務の3制度を候補化し、代表従業員の意見を聴取した上で最終決定。
  • 妊娠・出産申出時に「意向聴取シート」を電子で送付、本人の希望を記録して運用担当がフォロー。

まとめ:義務をチャンスに変える視点

2025年の育児・介護休業法改正は、中小企業にとって負担となる面もありますが、同時に「働きやすさ」を打ち出す好機でもあります。
まずは改正項目の洗い出し → 規程改定 → 社内周知 → パイロット運用という段取りで進め、制度を自社の採用・定着施策の一部として活かしてください。

<参考>厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイント」:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf

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