少子高齢化の進行により、日本企業は慢性的な人手不足に直面しています。
帝国データバンクの最新調査によると、実に約8割の企業が「外国人雇用に前向き」と回答しました。
かつては大企業や特定業界に限られていた印象のある外国人雇用ですが、いまや中小企業にとっても避けては通れないテーマになっています。
では、なぜこれほど多くの企業が外国人雇用に動いているのでしょうか?
(出典)帝国データバンク:「外国人労働者の雇用・採用に対する企業の動向調査」
【外国人雇用が増える背景】
1. 人材不足が深刻化
特に飲食、介護、建設、製造といった「人手依存型産業」では採用が困難です。国内だけで人材を確保するのは年々難しくなっています。
2. 政府による受け入れ拡大
「特定技能制度」や「高度専門人材ビザ」など、外国人が働きやすい仕組みが整備され、企業側の採用ハードルが下がってきました。
3. 働き手の価値観や職場との距離感の変化
ワーク・ライフの価値観が多様化するなかで、国内外を問わず“働き方”に対する期待が変わっています。職場との心理的距離が広がると、採用・定着の両面で新たな工夫が求められます。
【外国人を雇用するメリット】
- 採用の母集団を拡大できる
国内だけで探すより幅広い人材に出会える可能性があります。 - 多様性による新しい発想や活力
異なる文化や価値観を持つメンバーがいることで、組織に新しい視点が加わります。 - グローバル展開への足がかり
将来的に海外進出を視野に入れる企業にとっては、大きな強みになります。
【受け入れの課題】
一方で、課題も少なくありません。
- 言語や文化の違いによるコミュニケーションギャップ
- 定着(長く働き続けてもらうこと)の難しさ
- 公平でわかりやすい人事評価制度の不足
特に「雇ったけれど長続きしない」という悩みは、多くの中小企業で共通しています。
【人事がすぐに取り組めること】
外国人雇用を成功させるには、採用だけで終わらせず、「働き続けたい環境づくり」を設計することが重要です。具体策の例を挙げます。
- 明確で公平な評価制度の構築
評価基準を誰にでも分かる形で示すことで、納得感と安心感が生まれます。 - キャリア形成の道筋を示す仕組みづくり
昇進やスキルアップのルートを明文化することで、将来像が描きやすくなります。 - 多文化理解を深める研修や交流
日本語研修やメンター制度、生活面のサポートなど、職場外の不安を減らす取り組みも有効です。
【まとめ】
人手不足を補うために外国人を雇う――もちろんそれは一つの目的ですが、実際には組織に新しい力をもたらす成長のチャンスでもあります。重要なのは、採用した人材が長く力を発揮できる環境を整えることです。
そのためには、公平で分かりやすい評価制度やキャリア設計の整備が役に立ちます。評価制度の見直しや人事評価システムの導入は、その一助となるでしょう。まずは小さな一歩、評価軸を明文化して社内で共有することから始めてみてください。
人手不足が続く今だからこそ、外国人雇用を「攻めの一手」として制度づくりを進めてみませんか?