【はじめに】
今回は「管理者の負担を軽減する人事評価について」です。人事評価の時期がくると憂鬱だと思う管理者もいるのではないでしょうか? 日々の業務に追われて人事評価が疎かになっていたり、面倒な業務にしか思えなかったり、余分な業務と思われがちな人事評価。もしかしたら人事評価は管理者の方々の一番の負担になっているかもしれません。
本記事ではそんな管理者の皆様へ、人事評価の負担を軽減する方法を説明します。
【考え方を変える】
まずは、人事評価を面倒と思う、人事評価のせいで日々の業務が疎かになってしまうと感じている管理者の方に初めに考えてほしいことがあります。それは「管理者の役割」についてです。管理者の役割とは一体なんでしょうか?部下を管理すること、目標を達成すること、社長と部下の中間のパイプ役、様々な考え方があるとは思いますが、大きく分けると「目標達成」と「組織」の2つの管理ではないでしょうか?
この2つの管理について少しだけ触れておきます。まず「目標達成」について、言うまでもなく組織において目標達成は最重要課題です。事業継続のためにはこの目標達成=成果が絶対条件なので、管理者は先頭に立って、組織を率いてこの「目標達成」に向かわねばなりません。
そして「組織」の管理です。組織の管理についても、その組織が弱ければ目標達成はどんどん遠のいていきます。いかに目標達成に向けてのシステムが優れているものであっても、組織を構成するマンパワーが弱ければ運用が厳しいのはどの業界でも一緒です。そのため、図式としては「組織」をしっかり管理し、「目標達成」に向かうという流れが必然になってきます。
ここを考えたときに、管理者の役割は自分の業務を部下よりもこなすことでしょうか?管理者のこの2つの役割をこなすことが自分の業務と認識していれば良いのですが、部下と同じ業務のリーダーくらいに思っている管理者は要注意です。もちろん管理者は業務の知識や技能が優れた者がなるのが常ですので、業務をこなすことに意識がいってしまいがちです。
しかし、先に述べた2つの役割をこなすためには、通常業務に時間を割いてばかりいては、いつまでたっても本業である管理者の役割は果たせないでしょう。
ここで考え方を変える必要があります。管理者は管理者の役割を全うするために、全エネルギーを使いましょう。目標達成には組織を管理し、率いる管理者の力が必要です。通常業務に時間を割かなければいけないのであれば、代わりに部下を育てましょう。部下を育て自分の通常業務の時間を減らし、管理者の役割に力を注ぐのです。これも管理者の役割の「組織」の管理になります。先にも述べたようにここがしっかりできての目標達成に繋がります。
【人事評価について考える】
人事評価とは一体なんの為にあるのでしょうか?ボーナスの査定の為でしょうか?そうではないですよね。人事評価はすごいパワーを持った「人材育成」のツールと考えて良いと思います。適正な評価により、部下の自己効力感を満たすことや、叱咤激励の機会にもなります。上手くこの人事評価の持つパワーを使えば、管理者の役割である「組織」の管理である部下の育成に役立つでしょう。ですので、人事評価は大変だと思う気持ちはわかりますが、自分のツールとして使いこなしていきたいものです。ただ気を付けて欲しいのはこの「適正な評価」が大事なのと、評価しっぱなしではなく、部下へのフィードバックをしていきましょう。
【負担軽減のために】
それでは実際に人事評価の負担を軽減するためにはどうすれば良いか考えてみましょう。人事評価を行うにあたって、やはり一番は適正な評価をしなければならないことがネックなのではないでしょうか。一歩間違えると部下から厳しい声がとんできそうですね。そうではなくても適正な評価がされていないと部下が感じてしまえば、モチベーションが下がったり直接業務に支障が出てくる恐れがあります。組織の管理の為に行う人事評価なのにそれでは逆効果になってしまいます。
では適正な評価をするための仕組みを2つ提案させてもらいます。
プロセスマネジメント
①まず一つ目は「プロセスマネジメント」です。プロセスマネジメントは、プロセス(工程や過程)をマネジメント(管理)することによって結果を最大化させるというマネジメントの手法になります。これは結果だけに管理の目が行きがちですが、しっかりプロセスを細分化して管理していくことで、結果が出るというものです。このプロセスを管理者が入って、部下とプロセスごとの設定から達成度までを定期的に確認していれば、そもそもの評価のずれはなくなるのではないでしょうか。プロセスマネジメントで細分化することにより部下自身も自分の進捗状況が目に見えてわかります。プロセスマネジメントの特徴として可視化できるというところが、一番のメリットです。
OKR
②2つめは「OKR」です。OKRは目標管理の手法です。OKRはトップから末端の社員までが、成果に対してコミットする目標を設定し、定期的な評価では全社員が達成状況を確認できるようにする必要があります。これは体制を構築するまでが大変だとは思いますが、目標管理には管理者とのコミュニケーションが必須ですし、評価も組織を構成する全員が見ることができるので、不正な評価はそもそもできません。このOKRはGoogleも取り入れている手法です。
この2つのシステムを取り入れることで、今まで一人で頭を抱えていた人事評価が、システム的に管理できるので、「人事評価の時期がきたので評価しよう」と重い腰をあげなくても済みます。通常業務と人事評価を切り離して考えるので大変に感じてしまうので、普段の業務に管理ができる仕組みを取り入れてみてはどうでしょうか?
【最後に】
いかがでしたか?管理者の役割をしっかりと果たすこと、人事評価のもつ力を認識すること、システム的に評価を管理すること。これらを守ればもっと人事評価は負担なく行えると思います。管理者の役割をしっかり果たし、組織を率いていくには、人事評価はとても大きな力を持っています。人事評価を有効活用し組織の活性化に繋げていきましょう。