システムエンジニアの離職理由と対策①年代別退職理由と企業へのデメリット

HRテック

何かの書籍でみたのですが、社員が一番着目する事象は社員の入退者だそうです。事業収益よりも人には関心がよりやすく、動きも見えるからでしょう。

入社式は会社・既存社員共に期待にあふれたまなざしで新入社員を見つめるとともに、退職も見るところですよね。本文を書いている私も自分は自分と割りきるものの、新卒の時に同期社員の動向も気になっていた時期があったことを思い出します。

当社ではシステムエンジニアの雇用割合が多いのですが、それにかかわらず、社内外で見聞きした退職事象を記載しながら赤裸々にご記載できればと思います。

一般的な離職理由ですが、

①人間関係
②労働時間や環境
③給与や報酬
④仕事内容

など、上からの優先順位で続く様です。リモートワークが始まり、人間関係がよくも悪くも希薄になり離職率が低下した会社がありつつも、逆に希薄になったことでコミュニケーション不全になりそれが退職理由となる企業もあるそうです。業種業態によって様々ですね。

上記の4つの記載理由で、退職理由の8割程度はしめるかと思います。

一人の人間の意思決定の集合体で上記の事由でまとめられていますが、本ブログでは少し深堀した記事になればと思います。

以下の事由や事象については当社や私の友人知人で起こったものをまとめています。当社のことだけではないので、あしからずご了承ください(^^;

退職を考える理由

〇退職事由の様々なケース

当社も100名以上の社員がいるので今まで離職がないということはなく、数字の上下はあるにせよ毎年一定の離職率があります。退職事象をケースで少しまとめると、

A.入社 0~2年目

①キャリアのミスマッチ
・そもそもその職種に関心がない、向いていない適性が無い、
・なんとなく入社し、他の職種がやりたくなった
・仕事はできるにしてもイメージしているものと違った

②組織のミスマッチ、メンタル強度
(もろもろのハラスメントがないという前提で、)
・いわゆる一般的な社会人コミュニケーション、人間関係が構築できない

③社会人不適合者
 あまりないケースですが、
・勤怠不良をはじめとした時間や業務上での期限やルール等、約束事を守ることができない

昭和の団塊世代のおじさまたちからすると、「ありえないだろ!」と言われるかもしれませんが、上記事象が多かれ少なかれあるようです。ちなみに中小ベンチャーのような当社だけではなく、大手企業などいわゆる堅いしっかりした企業でも上記の事象はみられます。突然出社しなくなり、退職代行を利用して意思表示をしたとか事例もあるようです。パワハラブラック企業ならいざしらず、自分の進退くらいは当人の口から説明して欲しいものですが。

学生サイドからすると、退職代行はともかくとして、日本の新卒の雇用慣行である大学卒業数年間の間で、自分の職業を選択するということはなかなか難しいことです。それは、大半の学生が自分の学部と関連性の薄い起業を選択するからです。オンボーディングという言葉が人事界隈では日常的に使われるようになりましたが、企業選択の動機付けし続けることは、入社後も人事サイドにも求められる事かもしません。

B.入社 3~7年目程度

①キャリアの再定義による退職
エンジニアの場合なら当人の行いたい技術分野、営業なら経験したいサービスや、起業やスタートアップなど事業フェーズでの経験を求めて転職するケースが多くなるようです。

マズローの5段階欲求の中に、自己実現の欲求というものがありますが何か人より秀でたことが行えると、日常業務を繰り返すことよりも、次のステップや自分の理想を追い求めるケースもあります。

②年収
市場価値に対して適正な対価をもとめてしまうのも3年目以降が多いようです。大卒3年30%の離職率はこの辺りも起因しているかもしれません。
 
③組織的な変化
一般社員から役職社員となり、課長職など裁量をもたされると、当然のことながら 人と予算の管理を求められることが増えます。いわゆるマネジメントです。ここも一つの分岐点であったりします。仕事が好きで実績はあげていたものの、今度は人に成果をあげさせないといけない。これにやりがいを感じる方もいれば、そうではなく拒否反応を示す方もいるようです。エンジニア職は一般職に比べ少しその傾向が強いかもしれません。

C.その他、事業成長性に伴う変化による退職

①創業期
・全員ではないにしても、オーバーワークであることが求められることが多い
・福利厚生が手薄
・事業成長が不完全燃焼を起こしている

など。とある指標では、離職率が50%越すこともあるようです。

③成長期、安定期
・反面、ガムシャラに働いてきたが、企業成長が安定しはじめ仕事への物足りなさを感じる。
・企業成長の組織化フェーズ。社員数が増えて、有機的な集団から組織的な変化をしていくタイミングで組織変更の対応が求められる場合など。

 創業時から成長時期にはいり、求められることが変わってくることもありそうです。

退職理由の整理ですが、十人十色の理由があるはずですが、事由を人事のフェーズごとでグルーピングして整理し対策をしていければと思います。

退職を防ぐためには

この文章を記載して行く中で、人事として頭痛のタネは尽きないものだなと、しみじみ思います。
企業である以上、生産高が高い方や真面目な方に残ってほしいものであり、そうではない方に関しては残ってほしくないと考えますが、今回に関しては前者のについて防ぐことを考えていきたいと思います。

そもそもなぜ離職がいけないか

①研修コストや人材育成にかかる費用の損失
②スキル知識、ノウハウの損失
③企業のイメージ、社員モチベーションダウン

などが理由となります。

①研修コストや人材育成にかかる費用の損失
①に関しては会社の経済のダメージとなります。
仮に新卒一名の採用と研修コストが150万円とすると営業利益率が10%の場合、1500万円の売上げの損失ととらえるべきです。痛いですね・・・。採用や教育工数なども勘案すると見えないコストも影響するべきかもしれません。

②スキル知識、ノウハウの損失
②に関しては、それぞれ業務を通していわれるスキルや知識をもっています。俗人化がだめでマニュアル化が必要とよくいわれ、真面目な企業はそれを作成しますが、マニュアルを仮に作ってもそれを理解し、スキル保有し事業成果としてアウトプットを出すには一定の時間がかかるはずです。引継ぎも生産性の維持のための工数とみると、必要ではあるものの有益とはいえないものとなるかと思います。

③企業のイメージ、社員モチベーションダウン
②に関しては、残留している社員は離職した方の業務のカバーをすることもあり、作業工数も増えかねません。
モチベーションは少なくても上がりづらいですね。また新卒採用をする場合は直近3年間の離職率の公表が必要となっています。公表することにより、同業他社よりも大幅に高い場合はイメージダウンとなる可能性があります。

例外として、イグジットマネジメントという言葉があるように、社員の退職を計画的におこない組織の新陳代謝を促すことでHRマネジメントを行う考え方もありますが、一人の社員が何役もこなすことがある成長企業や中小企業、スタートアップには無縁の人事思想かもしれません。

今回のブログでは、従業員が退職する理由となぜ離職がデメリットになるかについて書きました。
次回は、人事管轄業務のおさらいと、そのフェーズにおける離職防止について投稿します。

離職理由と対策②年代別退職理由と企業へのデメリット