管理職が疲弊する会社で起きていること ――「育成不足」ではなく「管理職設計」の問題

企業カルチャー

「管理職になりたくない若手が増えている」
「管理職が忙しすぎて、育成どころではない」
こうした声は、もはや一部の企業に限った話ではありません。

管理職の疲弊は、個人の資質や意欲の問題として語られがちです。
しかし実際には、多くの企業で同じような構造的問題が起きています。

それは、管理職を「役割」ではなく「ポジション」として扱い続けてきたことです。

本記事では、管理職疲弊がなぜ起きているのかを整理したうえで、
2026年に人事が見直すべき「管理職設計」という視点について考えていきます。

1. 管理職疲弊は「個人の問題」ではない

管理職が疲れている理由として、よく挙げられるのは次のようなものです。

  • プレイヤー業務とマネジメントの両立が求められる
  • 評価・育成・面談・トラブル対応など業務が多すぎる
  • 責任は重いが、裁量や権限は限定的

これらは確かに事実ですが、問題の本質は管理職一人ひとりの能力や努力ではありません。

多くの企業では、
「管理職とは何を担う役割なのか」
「どこまでを期待し、どこからは求めないのか」

が曖昧なまま運用されています。

結果として、
何でも背負わされる存在として管理職が疲弊していくのです。

2. なぜ管理職になりたがらないのか

若手が管理職を敬遠する背景には、明確な理由があります。

  • 業務量が増えるのに、報酬や評価が見合わない
  • 責任だけが重く、裁量が少ない
  • 「失敗すると評価が下がる」リスクが大きい

ここで注目すべきなのは、
「管理職が魅力的でない」のではなく、
「管理職の設計が破綻している」
という点です。

役割・権限・評価・支援が整理されていない状態では、
誰にとっても管理職は“割に合わない仕事”になってしまいます。

3. 多様な働き方が管理職の負担を増やしている

近年、働き方は大きく変化しました。

  • リモートワークと出社の混在
  • 時短勤務・育休復帰者の増加
  • 男性育休の取得推進

これらは前向きな変化ですが、
その調整役をすべて管理職に任せている企業も少なくありません。

・誰にどこまで配慮するのか
・評価はどう考えるのか
・チームとしての成果をどう出すのか

こうした判断基準が人事として整理されていなければ、
管理職は常に「正解のない判断」を迫られ続けることになります。

4. 管理職疲弊の正体は「設計不在」

ここまでを整理すると、管理職疲弊の原因は明確です。

それは、管理職という役割を“設計せずに運用してきたこと”にあります。

本来、人事が考えるべきなのは次のような点です。

  • 管理職に求める役割は何か
  • プレイヤー業務との線引きはどこか
  • どの範囲まで権限を持たせるのか
  • 評価では何を重視するのか
  • どんな支援を前提とするのか

これらが曖昧なままでは、
どれだけ研修を増やしても、管理職の負担は減りません。

5. 2026年、人事に求められる「管理職設計」という視点

これからの人事に求められるのは、
管理職を「頑張れる人に任せる役割」から、
「設計された役割」へと再定義することです。

具体的には、

  • 管理職の役割を言語化する
  • 評価と責任のバランスを見直す
  • 判断を個人に丸投げしない仕組みを作る

管理職が疲弊している状態は、
人事制度や運用が組織の変化に追いついていないサインでもあります。

まとめ

管理職疲弊は、個人の問題ではありません。
それは、組織が「管理職をどう使ってきたか」の結果です。

2026年は、
管理職を増やすかどうかではなく、
管理職という役割をどう設計し直すかが問われる年になります。

管理職が無理なく機能する組織は、
結果として、育成も評価も、働き方の多様化も進みやすくなります。

人事が今こそ向き合うべきなのは、
「管理職を育てること」ではなく、
管理職が機能する構造を作ることではないでしょうか。

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