2024年、人手不足倒産が2年連続で過去最多になったと帝国データバンクが発表しています。
【参考】帝国データバンク:人手不足倒産の動向調査(2024年)
人材不足倒産とは、その名の通り、企業が必要な人材を確保できず、事業の継続が困難になって最終的に倒産に至る状況を指します。
近年は、少子高齢化による労働力人口の減少が深刻となっています。
それに加え、2024年問題ともいわれる、時間外労働の上限が厳しく制限される「働き方改革関連法」の適用。また、今まで労働力を支えてきた、団塊の世代が2025年に75歳以上になるということもあり、労働力の維持がさらに困難になってきています。
そのような売り手市場に加え、エネルギー高騰や異常気象・自然災害などから引き起こされている物価高などもあり、労働者は企業による待遇に期待しています。
経営基盤が脆弱な、中小企業や地方の企業は、資金力が大手や中堅企業の賃金水準、福利厚生に並ぶのは容易ではなく、人材の確保がさらに難しくなっています。
黒字だからといって人材不足を軽視してはいけません。黒字経営であっても、現場で業務を担う人材が不足だということは、受注機会を喪失にもつながります。回復をしようとしても、思うように受注がとれず、業績回復が遅れる悪循環に陥りやすくなり、倒産に繋がってえいまうということもあり得るのです。
では、どのように対策をしたらよいのでしょうか。
人材不足倒産を回避する方法
1. 働き方改革の推進
・テレワーク・フレックスタイムの導入で多様な働き方を認める
・労働時間短縮や有給取得推奨で従業員の満足度を向上
2. 採用活動の強化
・SNSやダイレクトリクルーティングを活用してターゲットに直接アプローチ
・副業・パートタイム・短時間勤務の採用で人員補充
・シニア世代・外国人労働者の活用
3. 定着率の向上
・オンボーディングを強化して新入社員が早く職場に馴染めるようにする
・キャリアパスの明確化でモチベーションを高める
・ハラスメント対策やメンタルケアを徹底
4. 業務効率化・自動化
・ITツールやAIの導入でルーティン業務を効率化
・ペーパーレス化・**RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)**を活用
5. 知識・ノウハウの継承
・マニュアル作成や**OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)**を強化
・ベテラン社員のノウハウを動画・デジタル化して保存
・メンター制度の導入で新人をサポート
6. 外部リソースの活用
・アウトソーシングや業務委託を活用して業務を分散
・クラウドソーシングを利用してプロジェクト単位で外部に依頼
すべてを取り入れるのは、簡単なことではありませんが、既存の方法で経営を続けていこうとすると、待遇や環境改善に消極的と考えられ、従業員が不安に感じることで離職に繋がることもあります。
そのようなことを考えると、「放置することによる影響やリスクのほうが大きい」と考えたほうがよいでしょう。
まとめ
人材不足倒産を防ぐには、「採用」だけでなく「定着」と「効率化」もあわせて考えたほうがよいでしょう。
「採用 → 定着 → 生産性向上 → 継続的成長」 のサイクルを構築することが重要です。
IT活用や働き方改革を推進し、既存の人員が最大限にパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが重要です。