スタートアップ企業や少人数の企業では、人事評価制度がないという企業もあります。
これから、また、いつかは導入しようと思っている経営者も多いのではないかと思います。
では、いったい、いつ導入すればよいのでしょうか。
「評価制度がないことで課題を感じるタイミング」が導入のサインです。
人事評価がないことで起こる課題の具体例
1.社員のモチベーション低下
社員のモチベーション低下
「頑張っていても評価がされているという実感がない」と社員は仕事に対するモチベーションが下がってしまいます。
給与や昇進が「漠然と」決まっていると感じてしまうと、努力の方向性がわからなくなり、業務意欲や、仕事に対しての熱意が下がってしまいます。
フィードバックの機会
フィードバックの機会がないと、「自分の強み・課題が分からない」「何を改善すればよいか分からない」と業務に対しての目的や目標が失われ、不安を感じるメンバーが増えていきます。
2.給与や昇進の不満
昇給・昇進の基準が不透明
明確な基準がないままだと、「なぜあの人が昇進したのか?」「自分はどれだけ頑張れば評価されるのか?」という不満が社員に発生します。
社員間の不公平感が高まる
給与や昇進の決定が属人的にだと、「評価が上司の好き嫌いで決まる」と思われ、社内の環境に悪影響を与えることがあります。
3.管理職やマネージャーの負担が大きくなる
管理職が評価の判断に困る
評価の基準が明確でないため、「どう評価すればよいか分からない」「評価される側に納得感を持って説明できない」という状況に陥ることがあります。
評価のばらつきが生じる
部署や上司によって評価の仕方が異なってしまい、同じ社員であるのに不公平感が生まれます。
4.目標が曖昧で、組織の成長が停滞する
目標を見失い、社員が成長できない
どこに目標を持ち、どのように成長すればよいか分からなくなり「何を頑張れば評価されるのか」「どんなスキルを磨けばよいのか」が不明確になります。
組織全体で成果を伸ばすことができない
目標管理が曖昧なため、個々の努力がバラバラになり、組織としての成長が停滞してしまいます。
人事評価を導入する社員規模
もちろん組織の規模や目的によりますが、一般的には10〜30名以上が一つの目安となり、人事評価を導入する企業が多くなります。
導入のタイミングと社員数規模の考え方
1.10名以下(少人数・スタートアップ)
個々の業務や成果が見えやすく、密なコミュニケーションが可能なため、正式な評価制度がなくても対応可能な人数です。
代表やリーダーが一人ひとりを把握できる間は不要かもしれませんが、成長を見据えてシンプルな評価基準を設けておくのは将来的に有効です。
2.10〜30名(成長期の組織)
組織の人数が増えると、評価の属人化や不公平感が問題になりやすくなります。給与・昇進の不透明感が出始めたら基本的な評価制度(目標管理・定期的なフィードバック)を導入したほうがよいでしょう。
それにより、組織の方向性を統一しやすくなります。
3. 30名以上(中規模以上の組織)
役職や職種ごとに求められる成果が多様化し、評価の透明性が求めらます。管理の属人化を防ぐため、本格的な評価制度が必要です。
「成果・スキル・行動評価」などの多面的な評価基準を取り入れると、公平性が高まります。
人事評価導入のポイント
1.最初はシンプルに
はじめから多くの手法を取り入れると、運用も難しくなり負担がかかります。
評価に360度評価、目標管理にMBOやOKR、など適した手法を少しずつ取り入れていくとよいでしょう。
2.フィードバック文化の定着
年に一度や半年に一度など、評価の時期だけでなく、定期的に振り返りを実施する文化を定着させましょう。
3.柔軟に改善していく
組織は成長するのでその時に合わせて、また、運用しながら見直して、柔軟に改善するのがよいでしょう。
まとめ
人事評価制度の導入タイミングは、『制度がないことによる課題が生じた時』で、どの企業も同じというわけではありません。
しかし、導入に関しては、『シンプルに始め、運用しながら改善していく』というのは、どの企業に対しても共通して言えることでしょう。