2025年から2026年にかけて、多くの企業で賃上げが続いています。
大手企業を中心にベースアップや初任給引き上げが相次ぎ、中小企業でも人材確保のために給与水準の見直しを進める動きが広がっています。
しかし、人事の現場では意外な声も聞かれます。
- 給与は上がったのに不満が減らない
- 昇給したのに納得感がない
- 若手優遇に不公平感がある
- 離職が思ったほど改善しない
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか。
その背景には、給与額そのものではなく、「評価への納得感」という問題があります。
賃上げが続く今だからこそ、人事評価の重要性はこれまで以上に高まっています。
1. 賃上げだけでは従業員満足度は上がらない
もちろん、給与は重要です。
しかし従業員が見ているのは「いくら上がったか」だけではありません。
むしろ、
- なぜこの金額なのか
- 誰がどのように評価されたのか
- 自分は何をすれば評価されるのか
といったプロセスへの納得感が満足度を左右します。
同じ1万円の昇給でも、 理由が明確な場合と不明確な場合では受け止め方が大きく異なります。
2. 若手優遇が「不公平感」を生みやすい時代
近年は採用競争の激化により、初任給や若手層の給与を大幅に引き上げる企業が増えています。
一方で、中堅社員からは
- 新人との差が縮まった
- 自分たちの昇給は小さい
- 経験や成果が反映されていない
という声が上がるケースもあります。
ここで重要なのが評価制度です。
評価基準が明確であれば、 昇給額の違いにも一定の納得感が生まれます。
逆に基準が曖昧だと、 賃上げそのものが不満の原因になることもあります。
3. 昇給原資が限られるからこそ評価が重要になる
企業の人件費には限りがあります。
全員の給与を大幅に上げ続けることは現実的ではありません。
だからこそ企業は、 限られた原資をどのように配分するかを判断しなければなりません。
その際の土台となるのが人事評価です。
評価制度が機能していなければ、 昇給も賞与も説明できなくなります。
結果として、 「なぜこの人が高いのか」 「なぜ自分は低いのか」 という不信感が生まれます。
4. 求められるのは「評価の透明性」
賃上げ時代の人事に求められるのは、 評価結果そのものよりも評価プロセスの透明性です。
例えば、
- 評価基準を明文化する
- 目標設定を具体化する
- 評価面談を定期的に行う
- フィードバックを継続する
といった取り組みが重要になります。
従業員は必ずしも高評価だけを求めているわけではありません。
「なぜその評価になったのか」を理解できることが、納得感につながります。
5. 評価制度は「人件費管理」のためだけではない
評価制度は昇給額を決めるためだけの仕組みではありません。
組織として、
- 何を重視するのか
- どのような行動を評価するのか
- どのような人材を育てたいのか
を示す経営メッセージでもあります。
賃上げが続く時代だからこそ、 評価制度の役割はさらに重要になっています。
まとめ
賃上げは従業員にとって歓迎される施策ですが、それだけで満足度や定着率が向上するとは限りません。
重要なのは、 「なぜその処遇なのか」を説明できる状態を作ることです。
給与が上がる時代だからこそ、 人事評価の透明性や運用の質が企業の競争力を左右します。
これからの人事に求められるのは、 賃上げそのものではなく、従業員が納得できる評価と処遇の仕組みづくりなのかもしれません。


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