「気づかないうちに離れていく“静かな退職”とは?中小企業が今すぐできる対処法」

企業カルチャー

ここ数年、日本の働き方に静かな変化が訪れています。
「静かな退職」と呼ばれる、仕事以上の行動を控え、仕事への熱意を失った状態が、少しずつ広がっています。

そんな声を、経営者や人事担当の方からよく聞きます。

【国内で広がりを示す数字】

マイナビの調査では、20代~50代の正社員のうち44.5%が「静かな退職」の状態と回答。20代では 46.7% と最も高い結果でした。さらに、約70%以上が「今後もこのまま働き続けたい」と回答しています。

別の調査では、社員の16.3%が、転職の意思はなくとも「必要最低限の業務しか行わない」状態であると回答し、全年代から広がっていることが明らかになりました。

一方、クアルトリクスの調査では、静かな退職者を「3年以上の継続勤務意志を持ちつつ、自発的貢献意欲を失った人」と定義し、13%が該当するという結果も。注目すべきは、40~50代で割合が高い点でした。

マイナビキャリアリサーチLab / 正社員の静かな退職に関する調査2025年(2024年実績)
株式会社スコラ・コンサルト / 転職や働くことに関する意識についてアンケート調査
クアルトリクス合同会社 / 日本の「働く人の実態・意識調査」

【なぜ静かな退職が増えているのか?】

1.仕事以外を重視する価値観の変化
プライベート優先型で、必要以上の仕事に関わらない傾向が広がっています。

2.企業と従業員の認知ギャップ
経営層はこの現象を把握しきれておらず、組織運営の盲点になり得ます。

3.職場との心理的距離の蓄積
「辞めない理由」を言語化せず、社内で孤立せずとも心は離れている状況が増えています。

エン・ジャパン / 「静かな退職」実態調査
Great Place To Work® Institute Japan / 静かな退職に関する調査
リクルートワークス研究所 / 「静かな退職」と「静かな定着」

【中小企業にとってのリスク】

  • パフォーマンスが見かけ上は変わらずとも、モチベーションや創造性が低いため、成長が停滞する懸念
  • メンバーの無関心さがチーム全体に広がり、組織風土の弱体化につながる可能性

【人事がすぐできる3つの対策】

対策 内容
エンゲージメント把握手段の設定 1on1やアンケートを定期的に行い、心理的な距離を早期に察知する。
意味づけ・目的共有の強化 ビジョンやミッションを再確認し、仕事の「意味」を社員自身が自覚できる仕組み。
“辞めない”理由を聞ける環境づくり 明文化された面談やフィードバック、生の声が届く風土を育成。

【まとめ】

「静かな退職」は目立たないけれど、確実に組織のエネルギーを蝕むサイレントリスク。
制度の見直し以前に、「社員の声を聞く」「意味づけを共有する」という“人が見える仕組みづくり”が、今こそ求められています。

【行動への一歩】
「今、聞きたくても聞けていない社員はいませんか?」と視点を切り替えてみましょう。
「簡易アンケート」や「1on1トライアル」から始めて、組織の見える化を進めましょう。

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