「10年前はこれでよかったのに…」と、突き返された業務書類の訂正に、文句を言ったりしたこと、ありませんか。急速なITの発達によるIoTの普及や、グローバル化、企業の統廃合による社内処理方法の変更など、近年予測できないほどのスピードで様々なビジネスにおける仕組みに変化が起こっています。当然そういった変化は、組織にも大きな影響があります。
もし、単なる組織の一員として、変化を受け入れることを強要されるとしたら、おそらく冒頭のように文句を言って抵抗をすれば済む話です。しかし、中間管理者層として、変化を浸透させていかなければならない立場だとしたら、大変厳しい状況だといえます。
そういった変化に対して、組織を管理する立場としてどう牽引していくべきかについて、ここではご説明していきます。
組織変革は難しい
組織変革を行う際にネックとなってくるのは、変化に対する人の意識を変えること、といえるでしょう。よくある例ですが、社内システムを変更した際に、結果的に導入されたシステムがなかなか利用されず、実態は過去のやり方で進めたまま不要な手続きだけが増えてしまった、などという経験はありませんか。
そのほかにも、企業の統廃合で、社内システムをどうするかでもめた結果、いびつな形のシステムが残ってしまった、赤字部門のリストラがうまくいかず、結果さらに大きな損害を出してしまった、など、組織変革をもたらそうとした結果、失敗をしてしまったという事例は多数あります。
組織の変革に失敗する原因として、次のような内容があげられます。
・中間管理者層も含む、組織変革の重要性に対する認識不足
・経営者層の中間管理者層へのサポート不足
・各部署の現状把握不足
・社内のコミュニケーション不足
・変革後のフォロー不足
組織的な変革をもたらす際に、経営層と現場をつなぐ中間管理者層は、重要な役割を期待されます。それでは、こういった原因があるなかで、組織を牽引していくリーダーとして、中間管理者層がどのように対処していくべきかについて考えていきます。
組織変革をしていくためのステップ
組織を変革させる、という方針が経営層から通達された際に、中間管理者層には経営層からのメッセージを現場レベルまで落とし込み、広めていくことが求められます。変革を現場にもたらす際には、次のステップで進めていくことが重要となります。
①何のために変革を行うか、目的を中間管理者層自身が理解し、納得する
②現在の自部署の状況を把握する
③変革者である中間管理者自身が変化を起こそうとしない限り、組織は変わろうとはしない、ということを自覚する
④ある賢者の言葉で「コミュニケーションは取りすぎても足ることはない」とあるように、部下たちと、変革する意味について何度も何度も話をする
⑤変革に対してのあなた自身の個人的なかかわり方をしっかりと示す
⑥変革によってもたらされるより素晴らしい未来像を自分自身の言葉で部下たちへと伝える
⑦変革に対して前向きになっている人たちを称賛する
以上から考えると、中間管理者自身が、組織の変革に対して納得し、明確な意図をもって取り組むことがキーとなることがわかります。
組織変革を行う時の注意点
先ほどのステップに沿って変革を行う際に、気を付けておきたいことを2点お伝えします。
自分は納得していなけど、上がそういうから…
1点目は、前項の①でお伝えしたことにもつながりますが、決して「自分は納得していなけど、上がそういうから…」ということを部下に対して言わない、ということです。その言葉を言うことで、部下は変わっていくことに対して確実にモチベーションは下がってしまうでしょう。自分が納得していないことを、他人に強要されると人は動きたくなくなるものです。
一人で抱え込まない
2点目は、「一人で抱え込まない」ことです。中間管理者層として、経営層と部下からと挟まれた立場で、変革が滞ることがあるかもしれません。うまく進まない時は、経営層ともしっかりコミュニケーションをとり、場合によってはサポートを仰ぐことも必要です。一人で変革を起こそうとするのではなく、うまく経営層を巻き込みながら行うように意識をしてください。
組織変革を牽引していくために
組織を変革することは、非常にエネルギーが必要となることです。基本的に人はそれまでの習慣を変えることに抵抗があるともいわれています。しかし、ビジネスをしていくうえで、苦労してでも変革をすべき必要があるという時があります。
企業の市場価値が上げるだけでなく、さらに組織やその従業員にとっても利益をもたらすような方法で変革を行う機会を手に入れるのは、まさに中間管理者の手腕にかかっています。
繰り返しになりますが、変革を行うとなったら、一人で抱え込まず、部下や経営層である上司陣とコミュニケーションをとりましょう。そのためにもまずは明確にあなた自身が「変革を行う」と覚悟を決めてください。そこからすべてが始まります。