5人に1人が早期離職?離職者が多い企業はブラック企業なのか

企業カルチャー

「1年未満で転職する人」の割合は、業界や地域、年代によって異なりますが、一般的には約15〜20%程度と言われています。

特に、若年層や新卒者、またはITやサービス業などの流動性が高い業界では、早くに転職する傾向が強いようです。

企業にとっては、コストをかけて採用した社員が早期に離職するのは好ましくありません。
また、離職率が高いと企業全体の社会的印象に影響してしまう可能性もあります。
転職には、様々な理由がありますが、最近の若年層の離職の傾向をまとめました。

若年層が早くに転職する理由

1. ミスマッチによる離職
新入社員や転職者が入社後に感じる「期待と現実のギャップ」が大きな要因です。
入社前の説明と実際の業務内容が異なる場合、モチベーションが下がり転職を考えることがあります。
また、企業文化や職場の雰囲気、社風などが自分に合わないと感じることで、早期に離職を決断する人もいます。

2. キャリアアップやスキルアップを求めて
若年層や新卒者の中には、キャリアやスキルアップを目的に早期に転職する人が増えています。
ITや専門職の分野では、人材への需要が高いため、給与や待遇などが転職により好条件になることが多くあります。
また、スキルアップのチャンスとして、自分が成長できる環境を求め、学びやすい場所やチャレンジングなプロジェクトがある企業に早期に転職するケースも多いです。

3. ワークライフバランスの問題
働き方改革の影響もあり、ワークライフバランスを重視する人も増えています。
労働時間が長く。残業も多い。もしくは精神的な負担が大きい職場では、ストレスが原因で早期離職につながることがあります。
現在は、リモートワークやフレックスタイム制度の導入をする企業も多いので柔軟な働き方を求める人が、条件が合わない場合に早期に転職を検討することがあります。

4. 自己実現の重視
現代の労働市場では、自己実現や自分に合った環境を求める傾向が強くあります。
特に若年層では、自分に合った仕事を見つけるための「トライアル」としていくつかの職場の経験をして、最適な仕事や職場環境を見つけたいと考える人が多いです。
また、現在の仕事や会社が「本当に自分に合っているか」を見極める機会と捉え、早期に次のステップに進む人もいます。

社会的要因
経済状況や企業の採用戦略、また労働市場の状況も影響しています。
人材不足が続く中、他企業からのオファーが探しやすく、転職しやすい環境が整っているといこともあります。

離職者が多い企業はブラック企業なのか

もちろん、上記以外の理由もあることでしょう。しかし、転職がネガティブのイメージをもたれていた時代もありますが、現在では必ずしもそうではありません。

離職者が多い企業は、企業イメージがブラックなのではないかと懸念しますが、企業では、離職者を完全に防ぐことは難しいため、離職者が発生した際にそれを受け入れ、健全な視点から前向きに対処するほうが組織の未来につながります。

1. 離職は自然なプロセスと受け入れる
離職は組織において必ずしもネガティブなことではありません。
社員がキャリアアップや新しい挑戦のために離職することは、彼らの成長を示しており、組織にとっても新しい風を取り入れる機会と考えることができます。離職を「失敗」ではなく、組織の成長と多様性をもたらす一部として受け入れることが大切です。

2. 離職理由を客観的に理解する
離職者に対して話を聞き、彼らが離職を決断した理由を聞いてみましょう。
この情報は、会社の改善点や現在の課題を見つける貴重なフィードバックとして役立てることができます。
これにより、離職者の理由に過剰に反応せず、組織の改善に活かすことができます。

3. ポジティブな離職文化を作る
離職することが社員にとってネガティブなものではなく、次のステップに進むための「卒業」のようなものと捉える文化を育てることが有効です。社員が去るときに感謝を示し、将来の協力やネットワークの拡大の機会として、ポジティブに送り出すことで、離職が単なる「損失」ではなく、企業と社員の新しい関係性の始まりになる可能性があります。

4. 離職者との関係を維持する
離職者との関係を大切にし、「離職をしてからも連絡を取ることのできる関係」を構築します。彼らが他社で成功を収めた後に再び戻ってくることもあれば、新しいビジネスパートナーやリファラルの源として関係を保つことができるかもしれません。離職は終わりではなく、別の形での関係の始まりとして捉えることが重要です。

5. 組織の柔軟性と適応力を高める
離職者が出ることを前提に、組織がその影響に柔軟に対応できる体制を整えます。例えば、クロストレーニング(複数の業務スキルを身につけさせるトレーニング)を行い、誰かが抜けても他の社員がその役割をカバーできるようにします。また、採用プロセスを効率化し、必要に応じて迅速に新しい人材を採用できる仕組みを整備することも大切です。
離職者が出た際に感情的にならず、個人の選択として尊重する姿勢を持つことが重要です。
離職者が感情的な反応を引き出すような場面があったとしても、冷静に対処し、彼らの意思を受け入れることで、経営者としての成熟さを示すことができます。

6. 次の採用や育成にフォーカスする
離職者が出たことに対するショックや失望を乗り越え、次のステップに進むことが必要です。新しい採用を積極的に行い、離職の原因が分かっている場合は、その改善を図った採用プロセスや社員育成プログラムを設けます。離職は新しい人材を迎え入れ、組織が成長するための機会でもあります。

これらのアプローチを通じて、企業は離職者に対する考え方を前向きに変え、離職を企業の成長や変化のチャンスとして捉えることができるようになります。
重要なのは、離職を「失敗」や「損失」と見るのではなく、組織と社員双方にとって良い未来を築くためのプロセスの一部として受け入れることです。