2026年、人事が「制度対応」から「運用設計」へ進む年

企業カルチャー

ここ数年、人事領域では法改正や制度対応が立て続けに求められてきました。育児・介護休業法の改正、男性育休取得率の公表義務化、人的資本開示への対応など、2025年までに多くの企業が「制度を整える」段階を一通り経験したと言えるでしょう。

そして2026年。人事に求められる役割は、制度対応そのものではなく、それをどう運用し、どう組織に根付かせるかへと明確にシフトしていきます。
本記事では、2026年を「制度対応から運用設計へ進む年」と位置づけ、なぜ今その転換が求められているのか、そして人事がどこに腕の見せ所を持つべきかを整理します。

なぜ2026年は「運用設計」が問われるのか

1. 制度は出揃い、差が出るのは“使われ方”
法令対応としての制度整備は、多くの企業で一定水準まで進みました。しかし現場を見ると、

  • 制度はあるが使われていない
  • 使いづらく、形骸化している
  • 利用が一部の社員に偏っている

といった課題が浮き彫りになっています。制度の有無では差がつかず、運用の巧拙がそのまま組織力の差になるフェーズに入ったと言えます。

2.「公表制度」により、運用実態が可視化される
男性育児休業取得率の公表制度に代表されるように、2025年以降は人事制度の“中身”だけでなく、実際の運用結果が外部から見える時代になりました。
制度があるかどうかではなく、

  • 実際にどれだけ使われているか
  • 特定の属性に偏っていないか
  • 継続的に改善されているか

といった点が、企業評価や採用広報にも影響します。運用設計は、もはや内部管理の話ではありません。

2026年の人事に求められる「運用設計」の視点

1.制度を「現場の行動」に翻訳できているか
制度文書や就業規則は整っていても、現場の上司や社員が

  • 実際にどれだけ使われているか
  • 判断に迷ったときの基準は何か

を理解できていなければ、制度は機能しません。2026年の人事には、制度を現場の行動レベルにまで落とし込む設計力が求められます。

2.数値を「管理」ではなく「改善」に使えているか
取得率、満足度、離職率など、人事データは以前よりも格段に集まりやすくなりました。しかし、

  • 数字を集めて終わっている
  • 報告資料のためだけに使っている

という状態では意味がありません。重要なのは、数値を使って運用をどう変えるかという視点です。

3.制度を“単体”ではなく“組み合わせ”で設計しているか
育休制度、評価制度、配置・育成、マネジメント。このどれか一つだけを改善しても、他と噛み合っていなければ逆効果になることもあります。
2026年は、制度を点ではなく線・面で捉え、組織全体として矛盾のない運用設計ができるかが問われます。

「制度対応型人事」から「運用設計型人事」へ

これまでの人事は、

  • 法改正への対応
  • 制度導入の可否判断
  • ルール整備

といった“守り”の役割が中心でした。しかし2026年以降は、

  • 現場で制度がどう使われているかを把握し
  • 課題を構造的に捉え
  • 改善サイクルを回し続ける

という運用設計者としての人事が組織の価値を左右します。

2026年は「人事の腕が見える年」

制度を整えるだけなら、情報を集めれば誰でもできます。しかし、制度を機能させ、組織の行動を変えるには設計力と運用力が必要です。
2026年は、人事が単なる制度管理者ではなく、組織運営の設計者として評価される年になるでしょう。今ある制度を、どう運用し、どう進化させるのか。その問いに向き合うことが、2026年の人事にとって最も重要なテーマです。

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